スマートウォッチは便利そうだけど、価格の高さから中々購入まで気持ちが至らないデバイスの筆頭。
特にApple Watchは新作のSeries7が出るから、これを機にスマートウォッチを試してみようと考えている人も多いはず。だけど、購入したところで実際に使うのか不安に感じると思う。
そういった思いを抱えている人の需要を突いてきているのが、Xiaomi Mi Watch。
12,980円とApple Watchの半額以下の値段ながら、機能は同等かそれ以上という高いコスパを誇るスマートウォッチ。
安価かつ高機能のMi Watch。スマートウォッチ界でどのような立ち位置なのかをレビューする。
ここが○
・スマートウォッチとしては破格の12,980円
・Felica以外はほぼ全部入りの高機能
・16日持つ長寿命バッテリー
ここが×
・アプリ機能は微妙(対策あり)
・好みが分かれるウォッチフェイス
・大柄なボディ
12,980円でハイエンド級の性能と16日持つバッテリー
Mi Watchは端的に言えば、安価・高性能・長寿命バッテリーの三拍子が揃った高コスパなスマートウォッチ。
スペックや機能は以下の通り。
価格 | 12,980円 |
重量 | 約32g |
寸法 | 45.9*53.35*11.8㎜ |
バッテリー | 最大約16日間 |
ディスプレイ | 1.39インチ有機EL |
ウォッチフェイス数 | 100以上 |
対応ワークアウト | 100以上 |
睡眠トラッキング | 対応 |
位置情報サービス | GPS、GLONASS、Galileo、BDS |
画面常時表示 | 対応(機能制限あり) |
血中酸素濃度 | 対応(常時測定非対応) |
Apple Watch Series6の目玉である画面常時表示、血中酸素濃度測定を搭載。それに加えて大画面の有機ELディスプレイ、最大16日間持つ長寿命バッテリーがついてくる。これが12,980円で買えるのはアツい。
ボディはマットな質感で高級感は感じないものの、チープさは無い。デザインはシンプルで時計単体の主張は控えめ。どんな素材のバンドでも違和感なく組み合わせられそうな印象を受ける。
無骨さを排除したG-SHOCKという表現が似合うかもしれない。
裏側はプラスチック。
肌触りの良いサラサラした質感で、金属より汗のベタ付きが少なく感じる。快適性と悪目立ちしないコストカットが両立できていて好印象。
本体サイズはなかなか大きい。小柄な人、腕周りが細めの人は大きすぎると感じるかもしれない。
自分の腕周りも細めなので、真横から見たときには「デカいな…」という印象が強い。
付属バンドは価格相応の印象。ホコリの付着がやや目立つシリコン素材で、留め具も安っぽさを感じるようなプラスチック。
ただ、スマートウォッチのバンドは自由に交換できるので大した問題ではない。
購入前から付属バンドは使う気になれなかったので、互換性のあるAmazfitの22mmバンドを楽天で同時購入した。
仕事用でミラネーゼバンド、プライベート用で穴開きシリコンバンドを使っている。
ハイエンド級機能の使用感
Mi Watchがすごいのは上述の通り、ハイエンド級の機能を軒並み搭載していること。
それぞれの機能について、使用感を交えて解説する。
画面常時表示
従来の時計と同じように使える便利機能。
バッテリー消費が激しくなるのがネックだけど、Mi Watchは大容量バッテリーでカバー。
Mi Watchなら常時表示を使用していても1週間は余裕。バッテリーを心配せずに気兼ねなく使えるのは素晴らしい。
ただし注意点が1つ。常時表示のウォッチフェイスは通常時に選べるウォッチフェイスとは異なるラインナップから選ばないといけない。
つまり、通常使用時のウォッチフェイスと常時表示のウォッチフェイスは同じものが使えないので、頻繁にデザインが切り替わることになる。
手首の動作なしで時刻を確認するという目的は果たしているけど、画面切り替えがうっとうしい、落ち着かないと感じる人はいるかもしれない。
常時表示専用デザインはアニメーションや情報量が少なめで、バッテリー消費軽減のためにこの仕様にしていると思われる。
有機ELディスプレイ(AMOLED)
スマートウォッチとしては大型の1.39インチ、454*454の有機ELディスプレイを搭載している。
解像度、明るさ、視認性どれをとっても非常に優秀。Apple Watchと全く同じといっていいレベルの画質で、価格差を全く感じさせない。
ただし、画面リフレッシュレートはやや低め(おそらく30Hz?)。時刻表示は滑らかだけど、メニューを操作するときに若干のカクつきを感じる。ただ、スマートウォッチはスマホと違って画面を操作する場面は少ないから気になることはほぼない。
時刻表示が滑らかにできる程度のリフレッシュレートに抑えて、バッテリーを長持ちさせたほうが多くの人に喜ばれると思うから、この仕様は理にかなっているといえる。
血中酸素濃度
Apple Watch Series 6とは異なり、バックグラウンド測定は未対応。手動で起動する必要がある。
自分は使わない機能なので、数値の信頼性や使い勝手は何とも言えない。
Alexa
スマートホーム機器の操作や予定の確認が可能。
HOMEボタン長押し、または画面下部から引き出すコントロールセンターで起動する。
基本的にはスマートスピーカーと全く同じように使える。ただし、Mi Watchはスピーカー非搭載なので返答はテキストのみ、音楽の再生操作には対応していない。
Mi Watchの標準アプリにはカレンダーやリマインダー連携機能が搭載されていないので、この辺りをAlexaで補うような使い方になる。
普段からAlexaを使用している人にはなかなか便利。スマホ不要で消し忘れた照明やエアコンの電源をオフにできるので、通勤や運転の時に役立つことがある。
欠点はテキスト表示の使用。うまく改行されずに文字が見切れることがあるので、調べものの用途には向かない。過度な期待は禁物。
「明日の東京の天気」の検索結果。問題なく読める。
「近くのコンビニを探して」の検索結果。全く見えない。
GPS
位置情報機能はGPS(アメリカ)、GLONASS(ロシア)、Galileo(EU)、BDS(中国)の4つに対応。日本国内であれば基本GPSのみになると思う。精度は十分実用的。
GPSの使い道はワークアウトの履歴確認と、天気情報取得の位置情報程度。マップやナビとして使うことはできない。
16日持つ長寿命バッテリー
現行スマートウォッチでは最強クラスの最大16日間持つ大容量バッテリーを搭載する。
充電は専用の充電器を使用する。
ワークアウトを頻繁に使用したり常時表示をオンにしたりといった、バッテリーを激しく消費するする機能を使っても1週間前後は持つ。
バッテリー持ちの良さはやっぱり正義
Apple Watchの時は「毎日充電しないといけないもの」という認識だったのが、Mi Watchでは「たまに充電しておけばいいもの」に変わった。
スマホの充電と同じように、生活のルーチンに組み込めば充電そのものの面倒さは気にならない。ただ、1日充電を忘れてしまえばバッテリー残量を心配しないといけない生活とそうでない生活、どちらを選ぶかと言われたら間違いなく後者のほうがいい。
精神的に気楽に使える、というより従来の時計と同じような感覚で生活に組み込めるのがMi Watchの強みの一つ。
バッテリー劣化が進んでも数日は余裕で持つはずだから、徹底的に使いつぶすのも十分にあり。
iOS版は通知機能が貧弱(対策あり)
Mi Watchはスマホ連携のための専用アプリ「Xiaomi Wear」を使う。iOSの場合は機能が簡略化された「Xiaomi Wear Lite」が相当する。
今回主にペアリングしたスマホはメイン機のiPhone SEなので、「Xiaomi Wear Lite」を使用した。
このアプリでワークアウトや活動量計の記録を見たり、通知や文字盤の設定をしたりできる。
記録閲覧は視覚的に分かりやすい表示になっている。自分の生活の傾向をざっと調べる用途なら十分使える。Apple Watchのようにサードパーティ製のアプリには対応していないので、細かい部分まで分析、設定をしたい人には物足りないかもしれない。
Lite版の弱点は通知の設定。Mi Watchに届く通知が個別に設定できるのは電話、メール、LINEなどのコアな機能のみ。他のアプリは「その他」で一括で管理されてしまうので融通が利かない。
「Xiaomi Wear」で接続すると、スマホと同じようにすべてのアプリが個別設定可能。
通知確認というスマートウォッチの重要な役割を損なう仕様にしているのはとても残念。
ただ、iPhoneユーザーはiOS15から追加された「集中モード」を併用することで、この弱点を潰すことができる。
iOS15の「集中モード」併用で通知機能を補う
集中モードはiOS15で追加された機能。アプリ自体の通知設定とは別枠で、時間や状況に合わせて通知されるアプリを個別に設定できる。
この機能を使うことで、Xiaomi Wear Liteの「その他」でまとめられているアプリの通知をカスタムすることが可能。
例えば自分の場合は、仕事中は電話、メール、LINE、カレンダーに記入してある予定の通知だけ確認したい。
Xiaomi Wear Lite側の設定は
・電話
・LINE
・メール
・その他
をONにする。
iPhoneの集中モード側の設定は
・Googleカレンダー
・LINE
・Spark(メール管理)
のみ通知を許可する。
こうすることで、Xiaomi Wear Liteの「その他」に分類されるアプリをGoogleカレンダーとSparkの2つに絞れる。
Xiaomi Wear無印版の使用感にかなり近づけることができるのでおすすめ。iPhoneユーザーならこの設定はほぼ必須だと思う。
細かい欠点
バイブ音が目立つ
Apple Watchのように、装着者だけにしか分からない振動をしてくれない。
iPhoneのバイブ音よりもやや大きい程度で、「ブイイイイイイイイ...」とはっきり聞こえる。
他人に迷惑になるほどの音量ではないけれど、長時間振動していると近くにいる人は気になるかもしれない。
メインメニューのUI
メインメニューはアプリアイコンだけがリスト表示されている。Apple Watchのグリッド表示とリスト表示の中間のUIをしている。
似たアイコンが並んでいるので、一目見ただけでは何の機能か分かりにくい。
タイマー、目覚まし、ストップウォッチは初見ではまず判別不可。
こればかりは慣れるしかない。アイコンはもう少し分かりやすいものにしてほしかった。
フォント
完全日本語対応しているものの、ところどころで中華フォントが目立つ。
日本版としてリリースするならこの辺りも頑張ってほしかった。
賛否両論になりそうなところ
デカい
冒頭にも述べた通り、腕時計としては結構大柄なサイズ。
小さい腕時計が好きな人は抵抗あるかも。
ウォッチフェイスの質
ウォッチフェイスは100種類以上から選択可能で、スポーツ・派手・デジタルな色が強いものが多い。色合いやデザインによってはチープに感じるものもあるので、好みが分かれそう。
G-SHOCKっぽい文字盤とアクティビティ記録を組み合わせたようなデザインが多い。
落ち着いた印象のデザインや、フォーマルなシーンでも使えそうなデザインはあるものの選択肢はわずか。
ウォッチフェイスのカスタマイズは基本的に未対応。
ごく一部で対応しているものはあるけど、
写真が設定可能なだけだったり
表示情報のバリエーションが活動量計に偏っていたりする。
実際に使っている機能
アプリ通知
仕事中の通知をはじめ、あらゆる状況において手元ですぐ通知を確認できる。
特に便利なのがSMS認証のログイン。PCでサービスを利用するとき、手元で認証コードをすぐ確認できるのが便利。
睡眠トラッキング
生活リズムを整えるために使っている。睡眠時間や質を可視化してくれるので、おのずとやる気を出させてくれる。寝つきが良いと翌日の気分もよくなるので良いことずくめ。
目覚まし
Apple Watchと同様に振動によって起こしてくれる。スマートスピーカーやスマホのアラームよりも優しい刺激で起きられるので目覚めが良くなった。
Alexa
スマートホーム家電の操作やタイマー設定で使う。
Siriよりも反応が良く認識も正確なので快適に使える。
カスタムウォッチフェイス
背景画像を変えられるウォッチフェイスに、iPhoneの純正壁紙を適用みたら意外と良かったので採用している。
写真写りがやけに悪いけど実際はもっときれい。有機ELの高解像度ディスプレイのおかげで、iPhoneで見る画面と同じ印象がある。
スマートウォッチ入門機ならこれがいい
アプリ連携やウォッチフェイスのカスタマイズが貧弱ではあるものの、12,980円で30,000円以上のスマートウォッチに搭載されている機能を一通り試せる。
そして、スマートウォッチの弱点である充電の煩わしさを排除した長寿命バッテリーも相まって、使い続けるための敷居もとても低い。
最初に選ぶスマートウォッチとしてはこれ以上の選択肢は無いと思う。Mi Watchはまさに入門機の立ち位置。迷ったらまずMi Watchを試してみて、
・アプリ連携やカスタムを重視したいならApple Watchなどのハイエンド機
・通知やトラッキングで十分ならMi Watchかスマートバンド
という感じで検討してみると後悔しない買い物ができると思う。
↓Apple Watchをレンタルした時の感想はこちら。
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