スマートウォッチといえばApple Watch。
なんとなく便利そうだけど、実際になにが便利なのか?スマホで良くないか?と思えるイマイチ存在意義が分からないデバイス。廉価版のSeries3でも本体価格は21,780円~と、気軽に手を出せる値段でないことも手の出しづらさに拍車をかけている。
ただ、実際に使ってみないと何が便利なのか分からないのも事実。
そこでGEOのあれこれレンタルサービスを使って、Apple Watch SE 40mmモデルを1ヶ月間試してみることにした。
今回はその体験談をまとめた。スマートウォッチを買うべきか悩んでいる人は参考になるはず。今度Apple WatchのSeries7も発売されるから、そこで買うか決めかねている人の助けにもなればと思う。
スマホの通知にもどかしさを感じるようになった
そもそもなぜスマートウォッチに興味を持ったかというと、仕事中のスマホの扱い方に困っていたから。仕事中はデスクにスマホを置いているんだけど、仕事に関係ある通知とそうでない通知が混ざって来るから、いちいち確認する必要があることに煩わしさを感じていた。
スマホをデスク上に出さなければいいじゃないか、裏返して画面を隠せばいいじゃないか、と思ったけど不便。重要な通知が来ていないか確認するために定期的にスマホに手を伸ばしてしまうから没。
だったら通知されるサービスやアプリを整理すればいいじゃないか、と思ったけどこれも不便。あくまで仕事中に不要な通知だけを取り除きたいのであって、スマホ側の通知を切ってしまうとプライベートのほうに支障をきたすので没。
だったら、手元に常に重要な通知だけを伝えてくれるデバイスがあれば便利じゃないか?と思った。まさにそれがスマートウォッチというわけだ。
田舎暮らし,インドア派人間に使い道があるか?
とはいえ、すぐにスマートウォッチを買おうという気にはならなかった。というのも、スマートウォッチで推されている機能と自分の生活スタイルが噛み合っていないから。
スマートウォッチ界隈で目玉と位置付けられているのは血中酸素濃度や血圧など活動量計としての機能。次点としてSuica等で使えるFelica機能が挙げられる。
正直、今の生活でどっちも使うことはあまりない。家で筋トレはするけど趣味でスポーツをするわけではないし、田舎暮らしは自動車がメインの移動手段だからSuicaを使う機会もそうそう無い。
こういった事情を考慮すると、自分がスマートウォッチに求める機能は以下になる。
・メール、予定等の重要な通知の確認
・日時の確認
・天気の確認
・Felica(電子マネー決済用)
時計としての役目と、すぐに使いたい機能に絞り込んだ形になる。
冒頭でも書いた通り、スマホの通知からとりわけ重要なものをだけを確認できることは必須。日時は時計だから当然必要として、天気は外出時の確認が欠かせない。Felicaは決済用として、無いよりはあったほうがいい程度。
この機能ならApple Watchでなくとも、XiaomiのMi Band等のスマートバンドも十分な気がした。ただ、まずはスマートウォッチとしての機能をフル搭載しているApple Watchを試してからでもいいだろうと思ったので、1ヶ月レンタルすることにした。
レンタル期限日到達の数日前に返却したので0ヶ月表示になっている。
結論:スマートウォッチは中途半端。必需品ではない
使ってみて分かったのは、色々と中途半端だということ。
中途半端ゆえに存在意義が微妙。具体的には
①ほとんどの機能はスマホに搭載されていて、スマホの方が操作しやすいからスマホでいい
②スマホでいいなら充電の手間が増えるスマートウォッチより、従来の時計の方がいい
という考えになりがち。スマホのように生活が一変するインパクトをスマートウォッチは持ち合わせていない。
なんとなく便利そうと思って目的を持たずに買うと、ほぼ確実に使わなくなること必至。そういった意味ではタブレットに近い立ち位置のデバイス。
ただ、スマートウォッチは従来の時計ではできない役割を担えるのは確か。
個人的には、購入を検討するに至った「仕事中、手元に必要な通知だけ受け取りたい」という要望にしっかり応えてくれたから、スマートウォッチは自分の生活には必要な存在だと思えた。だからスマートウォッチは買うことにする。
最初に明確な購入目的を持つことで、自分の生活に必要かどうか判断しやすくなると思う。
なぜこの結論に至ったのか、Apple Watchを実際に使ってみて便利・不便だった機能、その他感想という形で以下にまとめた。
Apple Watchで便利・つかいやすかった機能
通知
Apple WatchはiPhoneとは別の通知設定が可能で、手元ですぐに見たい通知だけに絞り込める。これは最初の狙い通りで、仕事の手を無駄に止めることを減らせたのでとても便利だった。
具体的には、スマホ単体の場合のアクションは、
①通知に気づいてスマホに視線を向ける(手に取る)
②すぐに対応する必要がある通知なのか判断する(仕事、プライベート混合)
③必要だと判断したら、スマホを手に取って(そのまま)対応する
Apple Watchの場合のアクションは、
①通知に気づいてApple Watchに視線を向ける
②すぐに対応する必要がある通知なのか判断する(仕事関係のみ)
③必要だと判断したら、スマホを手に取って対応する
となる。
一見ほぼ同じだれど、Apple Watchの通知は仕事関係という前提があるからそもそも無駄な通知がない。だから判断にかける労力を減らせる。手元で判断した後で初めてスマホに手を伸ばすから、通知確認から対応に必要な一連のアクションの発生を必要最小限にできる。
目的に応じた通知の限定化、これがスマートウォッチ最大の存在意義だと思う。
睡眠トラッキング
意外と使えたのが睡眠管理。スマホでも睡眠記録は取れるけれど、手間いらずでより詳細かつ確実にデータが取れる。
最近は健康管理のために夜更かしを避ける生活を意識しているけど、具体的な数字やデータが無いと続ける気持ちがなかなか芽生えない。Apple Watchがあれば、記録をもとに生活改善できるきっかけを作れる。
こういうのはいかに楽して続けられるかが大事。スマホ以上に肌身離さず着けているウェアラブルデバイスの強みを活かせる。
文字盤の視認性、デザイン性の両立
文字盤変更で時刻のアナログ・デジタル表示、そしてデザインを自由に切り替えできるのは、時計の快適性を向上に繋がる。気分で変えてみてもいいし、目的に応じて変えてもいい。
時刻表示という時計のコアな機能に汎用性が加わっているのは地味なメリットだと思う。
ちなみに、デザインの自由度や視認性を考えるとある程度の大きさのディスプレイは必要。この利便性が欲しいなら、スマートバンドは自然と選択肢から外れることになる。
iPhoneを探す(音を鳴らす)
スマホを無くした時に、常に手元で探す機能を使えるのは地味に便利。
ただ、これに関してはスマートスピーカー、忘れ物防止タグ、他人に電話をかけてもらうといった代替案がたくさんあるのでスマートウォッチ独自の利点とは言い難い。
便利なのは確かだけど、あくまでも手段が一つ増える程度に捉えておくのが良い。
Apple Watchで不便・使いにくかった機能
マップ(ナビ機能)
スマホのほうが楽。サイズの都合上、スマートウォッチだとどうしても情報量が足りず、結局スマホを使うことになる。
マップ機能を使うときは慣れない場所を移動するときが多いはず。周辺地理を把握するためにも、画面上の情報量が多いスマホのほうが絶対便利。スマートウォッチだと案内表示だけで全画面を使ってしまったり、周辺の情報が分かりにくかったりと使い勝手が悪い。
個人的にはカーナビの補助として使えることを期待していたけど、見事に打ち砕かれた。
Apple純正マップとGoogle Mapsを試したけど、音声案内は遅れ気味、画面案内は情報量少なすぎ、運転中は腕の向きからしてそもそも画面が見えにくいの三重苦。
わざわざApple Watchの振動や音声ガイドに頼るよりも、スマホのカーナビアプリのほうが経路が視覚的に分かりやすいし、車載ホルダーに置いておけば視線移動の距離や確認に必要な時間も少ない。スマホで完結しているからApple Watchの入る余地が無い。
安全運転に支障をきたすレベルだったので、残念だけどとても使えるものではなかった。
唯一良かったのは、スマホとナビ機能を分離できること。ナビ機能は基本的に常時起動して使うことが多い。Apple Watchをナビ専用機として使い、スマホで適宜必要な情報を調べるといった使い方ができるので、ナビ機能を多用する人にとっては便利かもしれない。
Siri
今のApple Watchは「Hey Siri」を言わなくてもSiriが起動できるようになっている。音声操作が楽にできそうと思っていたけれど、そもそもSiriの認識精度や回答内容はあまりあてにならないことが多いので、結局使うことはほぼ無かった。Alexaを使い慣れてしまうとどうしてもSiriは見劣りしてしまう。
タイマー設定をスマホより手軽にできたのは良かった。
睡眠以外の健康管理、フィットネス
もともと使うつもりがなかった活動量計の機能も一通り使ってみたけど、睡眠と同じくらい使いたいと思える機能は現時点ではなかった。
Felica(電子マネー決済)
意外と使いにくい。原因はリーダーと身体の位置関係にある。
多くの場合、腕と身体をひねって上手いことApple Watchをリーダーまで持っていってあげないといけない。これが面倒くさすぎる。
そもそも決済が必要な場面に遭遇するときはあらかじめスマホを取り出してスタンバイしておくし、リーダーに近づけるのもスマホの方が圧倒的に自由度が効いて楽。
冒頭でSuicaを使わないことについて触れたけど、それ以前の問題だった。無いよりは全然良いと思うけど、今のところスマートウォッチにFelica必須とは言い難い。
Apple Watchのその他感想
ミニマルな質感・外観は好き
腕時計にありがちな、細かくゴチャついた印象を一切感じさせないスッキリとしたデザインは好み。質感もチープな印象は全くなく、iPhoneやiPad同様のきれいな仕上がりになっている。四角い文字盤の時計は初めてだったけど、特段気になることはなく自然に使えた。
バンドや文字盤を自由に変えられるのも好ポイント。別物の時計を付けているような気分になるから、腕時計を複数本所持するより安く済むかもしれない。
充電の手間は気にならない
Apple Watch関連の話題で必ず見かける充電の手間やバッテリー持ちだけど、実際に使ってみるとあまり気にならなかった。入浴時間にスマホと一緒に充電すれば面倒臭さはないし、通常の時計として使う限りはバッテリー持ちも問題ない。
便利なのは確かだがAppleWatchは高すぎる
便利で質感もいいけど、コスパは良くない。だからApple Watchは買わない。
これがApple Watchを一か月レンタルした結論になる。
スマートウォッチ独自の魅力は少ない
スマホ以下の機能、利便性という中途半端な存在であることが、スマートウォッチの弱点であり魅力。ほぼすべての機能はスマホで使えるし、画面サイズ的にもスマホの方が断然使いやすい。
その一方で、スマホ以上に手軽に情報が確認できることがスマートウォッチの強みであり、存在意義の大部分を占める。
スマートウォッチ独自の価値を見出す基準は主にこの3つに絞られる。
・手元で重要な情報だけをすぐに確認できること
・スマホを取り出す手間を無くせること
・健康管理を手間いらずでできること
これらに惹かれるものがあってから、初めて購入検討の段階に移れる。
数少ないスマートウォッチの利便性を得るなら、Mi Bandなどの数千円のスマートバンドでも十分満足できる。機能の対価としてはApple Watchは割高と言わざるを得ない。
高価な端末が常に傷つきやすい場所にある不安
自分はガジェット系のモノは基本的に売却前提で使っているので、傷つかないように丁寧に扱うことを意識している。その中でも、Apple Watchは今までで一番取り扱いに神経を使った。
今回はレンタル品だったことも原因の一つとしてあるかもしれないけど、それ抜きでも取り扱いには不安が付き纏う。
その理由は、常に外部環境に本体が晒されているから。スマホは必要ないときはポケットにしまっておけるけれど、スマートウォッチは腕に着けているから常に外に出しっぱなし。腕を動かすあらゆる動作がダメージを与える原因になり得る。
きれいな状態を保ちたいなら全周カバーは必須。ただ、カバーをしたところで数万円する端末がもし傷ついてしまったら...という不安は完全に拭えないかもしれない。
気兼ねなく使えるかいう点では、Apple Watchの価格の高さは弱点になり得る。
バッテリー持ちの不安
もう一つの不安がバッテリー関連。
充電の手間自体は気にならないんだけど、バッテリーはどうしても経年劣化するのでバッテリー持ちの悪化は避けられない。新品でも最大で2日しか持たないから、劣化を考えると最終的には日常的にバッテリー持ちの不安と隣り合わせになることが予想される。
スマホと同じように、バッテリーが死ぬ前に乗り換えてしまえば解決する話ではある。ただ、生活の不安要素が常に一つ増えてしまうのは考えもの。
長期的なバッテリー性能を考えると、最大でも2日程度しかバッテリーが持たないApple Watchは割高だと思う。
Apple Watchを「買い」と考えられる基準とは
Apple Watchは割高ではあるけど、Apple Watch独自の魅力も存在するのは事実。端的に言えば、
「スマホ要らずで、手元で分かる情報をとことん自分好みにしたい」
のであればApple Watchは「買い」といえると思う。そう考える理由は以下の3つ。ここに魅力を感じるならApple Watchを買う価値はあるはず。
対応アプリが多く、Apple端末との親和性が高い
Apple Watchは他のスマートウォッチと違ってメーカー純正、サードパーティ製問わずアプリのクオリティが高い。Appleお得意の他Apple端末との親和性の高さも相まって、iPhoneと同じような使用感になっている。
これは、Apple Watchは標準機能に外部サービスを紐づけるのではなく、サードパーティ製アプリをそのままインストールできるから。
限られた画面サイズに、アプリごとに最適化された状態で必要な情報が表示され、なおかつ操作可能というのはApple Watchの大きなメリット。手元ですぐに情報を確認して処理したいという、スマートウォッチの目的にもうまく噛み合っている。
通知を細かく管理できる
先述した親和性の高さもあって、Apple WatchはiPhoneと同じように通知の個別設定が可能。
通知を極限までカスタムしたい人にとってはメリットになる。
文字盤に表示される情報を細かく管理できる
ウォッチフェイス、所謂文字盤の種類が豊富なのがスマートウォッチの魅力。Apple Watchがこの機能では頭一つ抜けて優れている。その理由は、文字盤の情報を細かく設定できるから。
多くのスマートウォッチの文字盤はバリエーション自体は豊富なものの、表示形式や情報は固定されている。メールの通知件数を表示したい、もっとここのデザインを自分好みにしたい...といった細かなニーズに対応できず、痒いところに手が届かないイメージ。
Apple Watchは豊富な文字盤バリエーションに加えて、文字盤の内容を細かくカスタマイズ可能。針や時刻表示の変更はもちろんのこと、メール通知やアクティビティ記録を自由に配置できる。
いい文字盤が無い、使い勝手がイマイチ良くないといった状況に陥りにくいのはApple Watchの強み。
ミニマルで高機能なスマートウォッチ
Apple Watchはスマートウォッチハイエンド機種の中でもコンパクトでスッキリした外見。見た目の印象は他社スマートウォッチの廉価モデル、もしくはスマートバンドに近いミニマルなデザインになっている。
Huawei WatchやGalaxy Watchなど他社のハイエンドモデルは、従来の高級時計をそのまスマートウォッチ化したような、ゴツくてギラギラしたデザインが多い。
好みの問題ではあるけど、存在感が強すぎないデザインが好きならApple Watchが選択肢に挙がると思う。
Apple Watchより安価かつ長寿命バッテリー搭載なら買い
スマートウォッチは欲しいけど、自分の使い方・考え方に照らし合わせるとApple Watchはコスパが悪いから要らない。というわけで、Apple Watch以外の機種を検討する。
最終的に自分がスマートウォッチに求めるのは以下の要素になる。
・メール、予定等の重要な通知の確認
・日時の確認
・天気の確認
・睡眠トラッキング
・視認性の高い文字盤
・長寿命バッテリー(一週間程度)
・Apple Watchより安価(20,000円以内)
日時と通知内容の確認のために、Apple Watchと同等かそれ以上の視認性が欲しい。この時点でスマートバンドは除外となる。
あとは劣化を見据えて長寿命バッテリーを搭載していて、なおかつApple Watchよりも安いスマートウォッチが欲しい。
Xiaomi Mi Watchを買った
正直この条件に合う機種があるか疑問だったけど、見つかった。それはXiaomiのスマートウォッチ、Mi Watch。
スマートウォッチの基本的な機能は全て網羅していて、16日間バッテリーを搭載。
要求性能を全て満たしつつその他ハイエンド機種に迫る付加価値を色々載せて、Amazonで12,980円で買えてしまう。すごい。
対応アプリの機能がiOSの場合はやや貧弱といった弱点はあるものの、それを差し引いても買う価値はあると踏んだので購入した。
レビューはこちら。