スイフトスポーツは決して静かなクルマではない。なぜならスポーツ性能を重視していて、なおかつ低価格と軽量化のために静粛性にかけるコストを削っているから。
200万円前後かつスポーツ系の車種にそんなものを求めるなと言われればそれまでだけど、普段使いもする以上快適な移動の道具にもしたい。これもスイフトスポーツに長く乗るための工夫の一環ということで、静音化のカスタムを施してみたから紹介する。
最初に静音化する理由とその効果について話してから、実際の施工事例を解説する。
スイフトスポーツの静音化に求めること

スイフトスポーツはその名前の通り、スズキの普通のコンパクトカーであるスイフトをスポーツカーとして仕立てあげたクルマ。だから優先されているのは走行性能や運転の楽しさで、静粛性は二の次になる。
スイフトスポーツの魅力の1つは1トン切りの軽量な車体による軽快な走り。軽量化のために色々な工夫が凝らされているわけで、遮音材や吸音材の削減もその一環。つまりスイフトスポーツの静音化は車のコンセプトやメーカーの工夫に真っ向から立ち向かうことになる。
「なんでそういうクルマを買ったのにそんなことするの?」と思うだろうけどそれはごもっとも。それでも筆者が静音化をしようと思った理由は以下の通り。
- 主にロードノイズを減らしたい
- 普段使いをより重視して楽しみたい
主にロードノイズを減らしたい

スイフトスポーツの車内に入ってくる主な音はロードノイズ。特に高速道路の速度域で目立つ。ペースを上げて走るときに聞きたいエンジンや排気の音の邪魔になるし、普段使いでも車内の会話やオーディオの妨げになる。他に聞きたい音をより聞こえやすくするためにロードノイズを減らしたい。
主な発生源はタイヤで、スイフトスポーツの純正装着品はスポーツ性と実用性のバランスを取ったタイヤ(コンチネンタルのコンチスポーツコンタクト5)だからある程度音が大きいのは承知している。タイヤを快適性重視のものに変えたほうが効果が大きいのは分かっているけど、純正タイヤと比べて運転感覚が大きく変わってしまいそうだからタイヤは純正を維持したい。
普段使いをより重視して楽しみたい

静音化カスタムは遮音材や吸音材を使うからそれだけ重量は増える。重量増は上にも書いたスイフトスポーツの良さに悪影響を与えかねないけど、筆者の乗り方であれば重量増の影響は気にならない程度で、静音化のメリットのほうが大きくなると考えている。
筆者はスイフトスポーツでサーキットやジムカーナを走るつもりはなくて、あくまで公道を法定速度内で楽しく走れれば十分。それに一般ドライバーである筆者の運転スキルなら多少の重量増が気になるほどの性能を引き出すなんてことはまず無理だと思う。
だから多少の重量増と引き換えに普段使いの快適にするカスタムをしたほうがより満足度の高いクルマに仕上がるだろう、という理屈。
【前提】効果検証はあくまで人間(筆者)の体感ベース
カスタムの目的を話したところで、次に実際の効果について語る。最初に断っておくと、効果の確認は完全に筆者の主観と体感になる。
というのも以前パッソに乗っていた時に同じように静音化カスタムをやったことがある。その時はスマホの騒音計アプリを使って簡易的な計測を行ったんだけど、騒音計の数値はほぼ変わらない一方、人間の耳では耳障りではない音に変化したなと感じ取れた。当時分かったのは絶対的な音の大きさと人間が不快に感じる音は別物で、これをデータで示すのは難しいということ。
まるでSEVやAdPowerのようなオカルトパーツ的な話になってしまって恐縮だけど、現状客観的にこの違いを伝えられる方法が見つからないから文章による感想だけで伝えることになる。許してほしい。
【結論】効果は確かに実感できた

以上を前提に結論を言うと、音の聞こえ方が変わって静かになったと感じた。目的は達成できた。
ロードノイズ(≒不快な音)が小さくなった

ロードノイズはゴーゴーとした音が以前よりこもったマイルドな音になった。リアハッチ周辺を集中的に施工したことでフロントシート後方からの音が小さくなった。高速道路走行中の後席との会話は声を張り上げないと難しかったのが、施工後は気持ち大きめに話せば通じるくらいには改善した。フロントシート周辺の違いはあまり感じられなかったけど、全体的にはロードノイズは結構静かになった。これで主目的は達成できた。
隙間を埋めた部分が汚れにくくなった
その他、パネルの隙間を埋める施工をして遮音性の向上や風切り音の低減を図った。もともと風切り音が気になることはなかったけどせっかくだからまとめて施工した。正直これはあまり効果を感じなかった。ロードノイズが大きすぎて違いを感じ取れなかった可能性もある。
隙間埋めで感じた効果は静音化より汚れ防止で、エンジンルームやサイドシルへの汚れの溜まりが施工前よりもゆっくりになった。隙間埋めについてはクルマを汚れにくくするのが主目的で、静音化はおまけ程度に捉えておくのがいいかもしれない。
ドア・リアハッチの開閉音が重厚になった
リアハッチは広範囲に制振材を貼りつけて、ドアは隙間を埋めたおかげか開閉音が以前より重厚になった。ちょっと嬉しい。
以降は使ったものと実際に施工したところについて解説する。
用意したアイテム

- ロードノイズ低減マット
- レジェトレックス制振シート
- エプトシーラー(No.686 or EE-1010)
- エーモン静音計画のゴムモール
- シリコンオフorパーツクリーナー
- 圧着ローラー
ロードノイズ低減マット
フロアマットの下に敷くシート。吸音材と遮音材の組み合わせでできている。マットはパッソで使っていたものを流用した。
レジェトレックス制振シート
制振材。車体に直接貼り付けてノイズの原因になる振動を抑える。デッドニング工房で購入。
エプトシーラー(No.686 or EE-1010)
吸音材。主に制振材の上に貼り付けて、振動で発生したノイズを吸収する。入手しやすいのはNo.686とEE-1010。どちらも自動車に使われているもので、若干柔軟性が違うらしい。筆者は正直よく違いを理解しないまま使っていた。
ゴムモール
パネルの隙間を埋めるゴムモール。今回は汎用品の背が高いものと低いもの、そしてドアの隙間用の専用品と合計3種類使用した。
シリコンオフorパーツクリーナー
貼り付け前の脱脂と粘着剤剥がしに使う。レジェトレックス制振シートのブチルゴムは色々な場所に引っ付きやすいからこれがあると便利。
圧着ローラー
制振材と吸音材を確実に貼り付けるためのローラー。特に制振材はブチルゴムをしっかり密着させないと効果が半減するから必須。手で押さえつけるのとは明らかに作業効率と仕上がりの良さが違う。絶対にあったほうがいい。
【やったこと①】ロードノイズ低減マットを敷く
車体の下側から侵入するロードノイズの対策をする。これはフロアマットの下に敷く簡単な作業。
フロアマット下

ロードノイズ低減マットをフロアマットの下に敷いていく。パッソから流用した都合上形が合わないから適当に調整する。
【やったこと②】パネルの隙間を埋める
パネルの隙間を埋めて風切り音の発生を抑える。汚れの侵入防止にも役立つ。
ボンネット

スイフトスポーツはフロントだけ純正でゴムモールが装着されているから左右に追加する形で貼り付ける。エーモンの静音マルチモールを使用した。

基本的にフェンダーパネルの高さに沿って貼り付けていけばOK。角度が付いている部分は切って調整した。

施工後。フロントのゴムモールと一体化していてぱっと見施工したことが分からない。
フロントドア・リアドア下

サイドシルとフロントドア下の隙間はエプトシーラーで埋めた。

水切り穴の部分だけ空けておいた。
フロントドアとリアドアの隙間
フロントドアとリアドアそれぞれの隙間を埋めた。

フロントドアのすき間にはエーモンの専用品を使用。リアドアの出っ張り部分に差し込んでいくだけ。

純正であるすき間埋めとピッタリつながるからきれいに仕上がる。
リアドア

ボディとツライチになるように慎重に合わせていく。

スタート地点はCピラーの樹脂部分から。

終わりは上で紹介したエプトシーラーの隙間埋め部分の手前まで。モール内に入った水もしっかり排水できる。

施工後。物理的に黒いラインが表面に出るからドアパネルの境界線がくっきりする。
リアハッチ内側

リアハッチ側の外周にゴムモールを貼り付けて密閉性を高める。ゴムモールは高さ3mmの汎用品を使用。

リアハッチは目印が無いから汚れが付いていた部分に沿って貼り付けていった。
リアハッチのフチ

スイフトスポーツはリアハッチとボディの隙間が結構大きいから埋めていく。この部分に関してはノイズ低減よりも汚れ防止目的で施工した。

ボンネットと同様に角度の付いた部分はカットして調整する。

貼り付けた後。ぱっと見はテールランプのガーニッシュに見えなくもない。この隙間を塞いだおかげでリアハッチの外周ががあまり汚れなくなった。
【やったこと③】制振材・吸音材を貼る
制振材(レジェトレックス)→吸音材(エプトシーラー)の順番で貼り付けていく。
フロントシート床面

サイドシルとタイヤハウス手前の内装パネルを取り外すとフロアカーペットが捲れてフロア部分にアクセスできるようになる。

全体を脱脂してから制振材を貼って、その上に吸音材を貼り付けていく。貼った後はローラーで丁寧に圧着していく。

貼り付けた後の状態。施工直後はエプトシーラーで床面がフカフカになって若干違和感があるけどそのうち馴染む。
最初は資材が足りなかったから全体に隙間を開けて騙し騙し貼っていたけど、折角やるならということで資材を追加購入して隙間を埋めていったから仕上がりが汚くなってしまった。普段は見えない部分ではあるもののちょっと後悔してる。
リアシートのほうはシートを外す大掛かりな作業になってしまうから施工するのはフロントだけにした。
Bピラー内側

この部分はディーラーに施工してもらった。元々は納車から6か月点検の時期にBピラーのプラパーツからカタカタ音がするようになってディーラーに相談したところ、パーツ交換と一緒にレジェトレックスとエプトシーラーの貼り付けで対策してもらった。この交換以降に同じ異音は出ていない。
ラゲッジ床面

スイフトスポーツ静音化のメインになる場所。純正のラゲッジマットをめくるとラゲッジの金属面が広がる。全体を埋めるようにシートを貼っていく。徹底的にやるなら左右のプラパーツも外すべきだけど、リアシート床面と同じくシートを取り外す必要があるからできる範囲に施工する。

この部分もフロントシート床面と同じく資材をケチった後に追加で貼ったから見栄えが終わっている。
リアハッチ内側


リアハッチのプラパネルを外して内側に貼り付ける。開口部が大きいから作業は一番楽だった。
【やめたこと①】リアハッチとルーフの隙間
ルーフとリアハッチの隙間を埋めて風切り音と汚れの侵入を防ぐ。

この部分は扉の隙間用の小さなゴムモールを使った。

この部分を埋めたことでリアハッチはかなり汚れにくくなった。ただ、リアハッチの動きとモールが干渉して数回開け閉めしているとモールが歪んで浮いてきてしまう。ルーフの上に飛び出して見た目が悪くなるから取り外した。

この隙間にはハッチの内側にも別の形状のゴムモールを貼り付けた。こっちはマッドフラップのような役割を持たせてハッチの留め具周辺に汚れが溜まらないようにするために付けた。

さっきのルーフ側のモールと組み合わせたおかげで汚れの侵入はだいぶ抑えることができた。ただしこちらもリアハッチの動きに干渉してしばらくするとゴムモールが取れてしまった。
汚れ防止としては良かったけど耐久性的に断念。
【やめたこと②】ボディとドアの隙間

ドアとボディの隙間にゴムモールを取り付けて密閉性を上げる。

施工後。当然だけど明らかにドアが閉まりにくくなった。

それにはっきり目視できるレベルでドアパネルが浮いてしまう。ドアゴムが馴染むまでこのままにしていようかと思ったけど、いろいろ悪影響が大きそうで怖いからすぐに取り外した。
