Androidナビはスマホと同じくデータ通信できる環境があって初めてカーナビや音楽が使える端末。中身はAndroidタブレットだから通信方法は基本的にAndroidスマホと同じ考え方になる。
ただし車内にいる時間だけ起動して使う端末という特殊な条件があるから、通信方法とその選び方もこの条件を踏まえたうえで考える必要がある。
結論としては最適解はAndroidナビの仕様や車の使い方によって変わってくるので自分の使い方と要相談という感じになる。この記事ではAndroidナビ(ATOTO S8 Pro)を2年以上愛用している筆者が通信方法と選び方のコツについて解説する。
Androidナビにはデータ通信が必須
Androidナビを一言で説明すると、車載専用で設計されたハードにCarPlay,Android Autoなど自動車のスマホ連携機能が追加されたAndroidタブレット。
Androidナビは従来のカーナビとは違い、端末にナビソフトは内蔵されない。スマホ連携機能を使うか、Androidナビ本体にGoogle PlayストアからインストールしたGoogle Mapsなどのアプリを使うことになる。
CarPlayまたはAndroid Autoはスマホがインターネットに繋がっていればナビが使える一方、Androidナビ本体にインストールしたアプリは基本的にデータ通信環境が必要。ナビ機能に限らずYouTubeやSpotifyといったアプリも当然インターネットは必要になるから、Androidナビにはデータ通信環境が基本的に必須になる。
Androidナビは複数の方法でデータ通信ができる
今回の本題になる、Androidナビでデータ通信をする方法は下記の通り。
- Wi-Fiテザリングを使う
- 車載Wi-Fiを用意する
- Androidナビ本体にSIMカードをセットする
1.Wi-Fiテザリングを使う
1つ目はスマホのWi-Fiテザリングを使う方法。
今回紹介する中では最も簡単かつ手軽にできるやり方で、用意するものはスマホとテザリング機能が使えるスマホ回線だけ。
手軽に使える反面、車に乗るときに毎回スマホ側でテザリング操作が必要になるのが面倒。特にiPhoneはインターネット共有をオンにしても一定時間接続が無い場合は自動的にオフになる仕様のため、気がついたら接続が切れていて繋ぎ直し、という状態が時々発生する。
筆者は一時期テザリングで運用していましたが、この手間が面倒で後述のSIMセット運用にしました。
他にもスマホのバッテリー消費が激しくなったり、通信速度は通常の回線に比べると遅くなる傾向もあったりと、意外と注意すべき点が多い。
Androidナビの挙動にも注意
Androidナビのソフトウェア制御は少し特殊で、その影響も考慮しないといけないのが地味に厄介。
例えば筆者が使用しているATOTO S8 Proの場合、エンジンのオン・オフでWi-Fiの有効化がリセットされる仕様で、Wi-Fiに繋ぐ場合は毎回クイック設定パネルからWi-Fiを有効化する必要がある。電源供給が頻繁に切れる車内環境を考慮したものなのかは不明。
Wi-FiテザリングはAndroidナビ単体で通信する機会が少ない人や、車に乗る機会が少ないライトユーザー向けの方法といえる。
2.車載Wi-Fiを用意する
2つ目は車載向けのWi-Fiルーターを用意する方法。
専用の機器と回線を準備するので、スマホ側の設定操作が不要かつ高品質な通信環境が期待できる。
車載Wi-Fiは主にこの2つに分けられる。
- ルーターと回線契約がセットになっている一体型タイプ
- SIMカードを自分で用意して使うSIMフリータイプ
Androidナビに一体型タイプはオーバースペック
一体型タイプはルーター1つで機器と回線の準備が完結できるのが特徴。
例えば一体型タイプで代表的な製品のパイオニアのDCT-WR100Dの場合、本体裏の2次元コードをスマホで読み取り、利用情報の登録と回線の契約をすれば利用開始手続きは完了。本体を車のシガーソケットに繋げばそのままインターネットに接続出来るので簡単に使い始められる。
契約できるプランは年間、1か月、1日の3種類。全て通信量無制限でドコモ回線を使用。
例えばDCT-WR100Dの利用に必要な費用は以下の通り(2023年11月時点)。
まず本体価格と維持費。本体に内蔵されているSIMは2年の有効期限が設定されており、SIMの更新には5,500円必要。
・DCT-WR100D本体 27,500円
・2年毎のSIM交換 5,500円
これに回線の料金が上乗せされる。
・365日プラン 13,200円
・30日プラン 1,650円
・1日プラン 550円
充実の通信環境が簡単に手に入る反面、費用も高め。家族連れや長距離ドライバーでもない限りオーバースペック。多くの場合は次に紹介するSIMフリータイプがおすすめ。
柔軟に運用できるSIMフリータイプがおすすめ
SIMフリータイプはルーターにセットするSIMを自由に選ぶことができる。本体価格は10,000円前後と一体型に比べて安価で、SIM交換費用も発生しないので初期費用が安い。
SIMはスマホと同じく格安SIMも使えるので、データ量と月額料金も自由。
SIMの候補でいくつか例を挙げると、
AndroidナビでYouTubeやSpotifyを楽しみたい場合はBIGLOBEモバイルのカウントフリーオプションが便利。
使用量が月によってまちまちな場合、日本通信の合理的プランを選べば料金を必要最低限に抑えやすい。
現状はSIMフリーの車載ルーター利用がコスパ良く自分の用途に合わせやすい方法だと思う。
バッテリー内蔵型ルーターは非推奨
ちなみにバッテリーが内蔵されているルーターは車載用としては不向きなので個人的にはおすすめしない。
車内は高温になりやすいので、車内放置でバッテリーに負荷がかかり最悪発火のリスクがある。車載Wi-Fiルーターは基本的にバッテリーレスの設計になっているので安全に使うためにも車載向けの商品を選びたい。
3.Androidナビ本体にSIMをセットする
3つ目はAndroidナビ本体にデータ通信対応のSIMをセットして、Androidナビ単体で通信できるようにする方法。
Wi-Fi接続の手間がなく、ナビ起動とほぼ同時にデータ通信が利用できるのが強み。
筆者も現在この方法で運用しています。回線はY!mobileのシンプルM、データシェアプランのSIMを使用しています。
使えるAndroidナビが限られる
この方法の欠点はそもそもデータ通信SIMに対応しているAndroidナビの機種が少ないこと。
例えばATOTOのナビの場合、現状はSIMスロットが装備されているのはS8シリーズのPro,Ultra,Ultra Plusの3機種のみ。現状この方法が使えるのは一部メーカーの上位機種のみに限られる。
対応バンドの確認が必要
スマホと同じように対応バンドの確認も必要。例えば筆者が使っているATOTO S8 Proの場合、対応バンドは以下の通り。
auのプラチナバンドに非対応のため、SIMの選択肢は必然的にドコモ回線かソフトバンク回線に絞られる。
Wi-Fiテザリングで使う場合はバンド対応はスマホ依存になるので、スマホ側がauのプラチナバンドに対応している場合は問題なく接続できます。
接続方法の特徴・おすすめの方法まとめ
Wi-Fiテザリング
スマホの通信回線があればすぐに使える。毎回の接続作業が若干手間。
スマホ連携がメインだったり、ナビを使う頻度が少ないライトユーザー向け。
車載Wi-Fi(一体型タイプ)
Androidナビ単体にはオーバースペック、費用も相応に高い。
長距離ドライバーなどヘビーユーザー、家族連れなど多人数・複数の端末を使う状況なら選択の余地あり。
車載Wi-Fi(SIMフリータイプ)
一体型タイプより初期費用と維持費を抑えやすく、自分の使い方に合わせやすい。
柔軟に運用できるので一番おすすめ。
AndroidナビにSIMをセット
Wi-Fi接続操作不要、スマホと同じくすぐにネットが使える。
対応端末の少なさなど、利用のハードルが高い。
SIMスロットが装備されているAndroidナビを使っている人はデータSIMをセットして使い、無い場合はSIMフリータイプの車載Wi-Fiを用意するのがおすすめ。