以前ブログで記事にしたとおり、筆者は2023年の7月にトヨタ・パッソを売却してスズキ・スイフトスポーツに乗り換えた。
パッソは近所の買取業者に買い取ってもらったんだけど、売り方から業者の選び方まで、初めての車売却にしては悪くない結果だったと思ってるから、その時の体験談を記事としてまとめる。今後車を売却するときの参考にしてほしい。
売却する車の状態

まず、売却するトヨタ・パッソ(KGC30型)の状態はこんな感じ。
- グレード:1.0 X クツロギ 2WD内外装は相応の使用感あり(主に小キズ)
- 事故歴無し
- 親戚が2012年に新車で購入、2020年からは筆者が乗った2オーナー車
- 総走行距離は約7万km、ほとんど街乗り
- メンテナンスは新車時から定期的にトヨタディーラーで実施。トラブルなし。
パッソは元々の新車価格が100万円前後の安い車種で、乗っていたグレードは廉価グレードに若干の快適装備が追加された特別仕様車。
パッソの買取相場

買取業者の相場としては数万円~10数万円程度と低価格車故に価格幅も小さめ。画像は2025年1月の相場だけど、売却した2023年当時からほとんど変わっていないと思う。
状態も特別良いとは言えなかったから、最終的には5万円程度に落ち着くだろうなという思いで臨んだ。
売却方法の絞り込み

結局パッソは一括査定を利用して中古車専門店に売却したんだけど、売却方法を決めるまでの経緯を説明する。方法は主に以下の4種類。
- ディーラー下取り
- 中古車買い取り業者への持ち込み
- ネット一括査定
- 個人間取引
消去法で一括査定or買取業者への持ち込みの2択
まずディーラーは下取りが安いからナシ。ディーラーは新車販売やメンテナンスがメインの商売である以上、中古車買い取りには力を入れない。実際、今回の売却の数か月前に査定してもらったときの金額は1万円だった。
次に個人間取引。メルカリやジモティーを利用した取引もここに含む。結論、この方法もナシ。なぜならリスクが高すぎるから。
車を手放すときは、車両本体の引き渡し以外にも税金や保険といった面倒な手続きをミスなく進めないといけない。この一連の手順をプロ抜きで進めるのは無謀すぎる。
業者への手数料が発生しないから手取りは増えるけど、トラブル発生のリスクを考えるとここをケチるのは明らかに割に合わない。
そういうわけで、売却方法はネットの一括査定か買取業者への持ち込みの2択に絞られる。
一括査定は体力と精神力が削られる

ネット一括査定は複数の買取業者へまとめて査定を依頼するから、持ち込みよりも簡単かつ高い金額で売却できる可能性が高い。
ただし一括査定は申し込んだ直後から業者からの連絡ラッシュが始まるし、どの業者も「一刻も早くうちで売ってほしい、早く決断してくれ」と圧をかけてくるからとにかく疲れる。
実際、今回の売却以前に興味本位で一括査定を依頼したことがあるんだけど、その時の業者電話ラッシュで痛い目を見たから正直あまり使いたくはないのが本音。
一括査定サービスのMOTAを使う

とはいえ簡単に複数社への査定ができるのは一括査定のメリットで、できる限りこちらの負担を少なくしつつこの恩恵を受けたい。
このバランスを考慮してネットで査定業者を色々比較した結果、一括査定を依頼したあと、査定額が高い上位3社に絞ってやり取りできるサービスのMOTAを使うことにした。
撤退ラインの設定
使うサービスを決めたところで、どこまでの金額・期間まで粘るかも事前に決めておいた。
上位3社に絞れるとはいえ、複数社との連絡・交渉は疲れるから最終的な判断に使う脳のリソースは少なくしたい。
だったらあらかじめ撤退ラインを決めておけば未練無くスパっと判断できるんじゃないかという考え。それに今回売る車は買取価格も変動幅もたかが知れている車種だから、査定額の違いや買取額アップの交渉にあまり時間をかけるのも割に合わないと感じた。
以上を前提に設定した撤退の条件が以下の2つ。
- 査定から売却先の決定は1日で済ませる
- 最低買取価格は5万円
下手に欲を出さずスパッと決めるために、査定から売却先の決定までを1日で済ませてしまうことにした。最低買取価格は必ず上回りたいというより、5万円以上ならそれ以上は下手に深追いせず、5万円以下ならそれで諦める程度のつもりだった。
MOTAからの入札は2社のみ

事前準備を済ませてからMOTAに査定を依頼。
入札状況は随時メールで通知されるんだけど、まさかの2社入札時点で時間切れになってしまった。居住エリア周辺にMOTAを利用している業者が少なかったのか、業者に旨味がないと判断されたのか、理由は不明。
いくら田舎でも3社以上は入札が来るだろうと高をくくっていたからこれには面食らった。
追加で近場の2社に持ち込み
流石に2社では相見積もりの意味が薄すぎる。せめて査定は最低でももう1社は増やしたい。
幸い自宅から車で20分以内の距離に買取業者が2社あったから、MOTAで入札があった2社の時間を調整して、その空き時間でその2社にも持ち込むことにした。この2社はMOTAから査定依頼の情報を入手していたのか、入手したうえでスルーしたのかは知る由もないけど査定額を知らされずに終わるよりはいい。
【MOTA1件目】隣町のビッグモーター

最初に電話がかかってきたのはビッグモーター(現 WECARS)。入札時の予想買い取り額は7万円~12.5万円前後。
当時はビッグモーターのやらかしが立て続けに報道されていた時期で、ビッグモーターに対する不安を感じてのやり取りだった。
電話でビッグモーターが1社目だと伝えた直後、
「12.5万円が限界です、同じ車種でよその業者の買取額も知ってますけどこの金額を出せるのはうち以外ないですよ」
「もううちに決めませんか?他社に行ったところでたかが知れてますよ、早くうちで売りましょう」
と言われた。一方的な提案と他社ディスりのコンボで、やっぱりビッグモーターを使うのはヤバいと確信。この時点で査定は断ってもよかったけど、まだ1社目。ひとまず他社の出方を見てから検討すると伝えて一旦電話を置いた。
【MOTA2件目】隣町の買取業者A

次に電話があったのは隣町の買取業者。入札時の買取予想額はビッグモーターより若干安く、6.5万円~11万円くらい。
ビッグモーターで提示された金額の12.5万円が現状最高値であること、市内の業者にも追加で査定依頼する予定を伝えたところ、
「最速で翌日の昼に出張査定可能、そこで金額を改めて提示したい」との回答。
買取業者Aには最速で来てもらい、そのあとに追加の2社へ持ち込み査定をしたうえで決めようと思った。
実車査定で買取額がアップ
翌日、買取業者Aの出張査定で提示された金額は13.5万円。ビッグモーターの提示額を1万円上回った。この時点でビッグモーターは選択肢から消滅。
自分の想定価格の倍以上、しかも相場としてもなかなか良い金額でこれ以上は上振れしなさそうという予感はしたけど、業者Aには予定通りあと2社査定を受けること、その2社の金額を踏まえて今日中に売却先を決める旨を伝えて一旦終了。
ちなみにやり取りは特に雑談もなく淡々と進んだけど、とても丁寧に対応してもらった。ビッグモーターの反動でなおさら印象良く感じたのかもしれない。これは以下の業者B、業者Cも同じ。
【持ち込み1件目】市内の買取業者B

業者Aの査定終了後、追加で市内の買取業者に持ち込み。まず1件目の業者B。
基本的な流れは業者Aと同じで、他社の査定状況とこちらの予定を伝えたうえで実車を確認してもらった。
結果、査定額は10万円ジャスト。これ以上は出せないとはっきり伝えられ、特に交渉の余地はなかった。引き留めもなく査定はあっさり終了。
【持ち込み2件目】市内の買取業者C

続いて持ち込み2件目の業者C。ここでも同じ流れで査定してもらった。
結果は業者Bと同じ10万円ジャスト。この店でも諸経費を考慮するとこれ以上は無理と回答があったうえで、A社さんにされたほうがいいと思いますよと付け加えられて査定は終了した。
特にバトルもなく淡々と決まった
持ち込みした2社はなんだか呆気なく終わってしまった。だけどこの2社のおかげで業者Aの13.5万円が実際の相場としても中々良い金額であることが把握できた。
業者Cの査定終了時点で15時。後回しにしていたビッグモーターにはキャンセルの連絡を入れて、金額も時間も終了条件に到達したのでここで吟味は終了。
業者Aには買取依頼を連絡して、翌日に車両引き取りと書類手続きを済ませた。特にトラブルもなく、スムーズに売却が完了した。
撤退ラインの設定が肝だった
今回は初めての車売却だったけど、我ながらうまく事を進められたと思ってる。特に事前に吟味の終了条件を決めていたのが役に立った。
1日で出した査定額の中で判断する旨を相手に伝えたことで決め打ち価格に近い金額を提示してもらい、結果的にMOTA入札時の予想額を超える13.5万円になった。あとは自分の心の中で5万円という妥協点を決めていたことで欲を出しすぎず、必要以上の時間と気力を消費せずに決着できた。
相場把握と相見積もりは大前提

今回売却した車は元々の買取価格が安く、金額の振れ幅も数万円程度だと分かっていたから、長時間交渉したところで割に合わないという判断に至った。
もっと買取額が高い車種になると金額の振れ幅も大きい。例えばトヨタ・ハリアーなら数十万円の価格差があるから、相見積もりや交渉に時間をかける意味はある。

売却に時間と手間をどこまでかけるかは、自分の車にどれくらいの価値があるのかで取るべき行動が変わってくる。だから相場把握と相見積もりは必ず必要。
自動車を売る機会はそうそうないから、売る側は買取側に対して知識や経験でどうしても不利になる。今回のビッグモーターのように、ヤバい店舗・店員を避けるための防衛手段としても相見積もりは機能する。
自動車などの高額商品を売るときは、面倒くさがらずにできる限りの準備をするのが大事だと実感した経験だった。