車内のオーディオやカーナビの機能は基本的にAndroidナビのアプリやCarPlay機能で事足りている。ただ、時と場合によってはスマホをサブディスプレイ的に使いたいこともあるからスマホホルダーはほしい。
そういうわけで今回はESRの車載充電器の購入レビューをする。
車載スマホは温度対策が必要
本題に行く前に、前置きとしてスマホを車内で使う時の事情や注意点を話しておきたい。
車内で最も高温になるのはダッシュボード周辺
車内用のスマホホルダーの設置場所はダッシュボードやエアコンルーバーの周りがメジャー。
ただしダッシュボードは車内で最も温度が高くなりやすい場所で、スマホ本体の発熱も加わって車載スマホは非常に高温になりやすい。
スマホが高温になるデメリット
スマホが高温になることで生じるデメリットは以下の通り。
- バッテリーが劣化しやすい
- 機能制限がかかる
バッテリーが劣化しやすい
バッテリーは使用していくうちに劣化していく消耗品。
高温状態が続くとバッテリーに負荷がかかってより劣化を早めてしまうから、スマホの寿命も短くなってしまう。
機能制限がかかる
大抵のスマホは高温状態になると本体保護のために機能制限がかかる。
iPhoneの場合は最初に充電速度の制限、さらに高温になると温度警告画面が表示されてほとんどの機能が使えなくなってしまう。
最近はCarPlayやAndroid Autoも普及してきて、ナビやオーディオの機能のスマホ依存率が高くなりがち。スマホが使えなくなった時の影響はかなり大きい。
冷やす仕組みが必要
こんな感じでスマホの車載は熱による悪影響をいかに避けるかが課題になる。
一番手軽かつ確実な方法は、エアコン送風口に取り付けるスマホホルダーを使うこと。
エアコンで常に冷やせるから発熱も抑えられて問題解決。
先客にドリンクホルダーがいる
…とはいかない。
自分のスイフトスポーツにはエアコン送風口にドリンクホルダーを既に設置していて、使い勝手がいいからどかしたくない。別の熱対策が必要。
この熱対策を求めてたどり着いたのがESRの冷却ファン付き充電器。
CryoBoost車載充電器の概要
正式名称「CryoBoost™付き搭載MagSafe車載ワイヤレス充電器 (HaloLock)」。
名前が長いからこの記事では「CryoBoost車載充電器」とする。
MagSafeと無線充電と冷却ファンが一体化
CryoBoost車載充電器は以下の機能が一体になった充電器。
- MagSafe式スマホホルダー
- 無線充電
- スマホ用冷却ファン
MagSafeで簡単に脱着できて、無線充電しながらスマホ本体を冷却できるというもの。
CryoBoostとHaloLock
CryoBoostとHaloLockという聞き慣れない単語が商品名にあるけど、どちらもESRの独自技術。
CryoBoostは冷却ファンでスマホを冷却、無線充電の速度低下を抑えることで結果的に充電時間を短くできる、とのことらしい。

出典:ESR公式
HaloLockはMagSafeの磁力をより強力にしてホルダーの保持力を高める技術。
MagSafeと互換性があって、通常のMagSafeと同じように使える。対応ケースを使うことで吸着力が上がる点も同じ。

出典:ESR公式
外観とホルダーの機能
充電器本体の外観。
正面は正方形の形。中央の磁石部分はピアノブラック仕上げで、周りにリング状の送風口がある。
裏側は冷却ファンの吸気口がある。ボールジョイント式で固定する。
充電器に冷却装置が付いている割には厚みは抑えられている印象。
クリップ部分。
エアコンのルーバーに挟み込むクリップに固定用のサポートアームが付属する。
送風口が青く光る
充電器に給電されている間はリング状の送風口が青く光る。
色は少し明るめの水色。明るさと色合いは車の内装に使われているものに近い感じで、眩しさや違和感がない丁度いい仕上げになっている。
発光部分はスマホを置くとほとんど隠れて見えない。
使用感はかなり快適
ホルダーと充電周りそれぞれの使用感について。
ホルダー
ホルダー本体はボールジョイント式だから使いやすい角度に合わせられる。留め具の作りもしっかりしていて、走行中の振動やスマホの重量で角度がずれることはなかった。
MagSafeの磁力もかなり強力で、片手で外すときはスマホをしっかり握らないと外せないほどの力がある。荒れた路面を走ってもスマホは一度も落下しなかったから、HaloLockの効果はあると思う。
充電速度自体は普通
出力自体は最大7.5wだから充電速度は速くない。カーナビアプリとかを使っていると、バッテリー容量は減らないか微増するぐらいの速度。
充電速度は体感そこまで変わらず
元の最大出力が低いこともあって、充電スピードは正直そこまで早くなったとは感じなかった。
Cryoboostはあくまで発熱による充電速度の低下を防ぐための技術だから、7.5Wだとその恩恵は感じにくいのかもしれない。Apple認証品の15W出力対応品なら分かりやすいのかも。
暑い日もオーバーヒートしないのが強み
充電速度だけ見るとそこまで効果がないように思えるけど、オーバーヒート対策としては高い効果があった。
以前使っていた冷却ファン無しの車載充電器と比べると、スマホの温度は明らかに低くなっていた。
実はこの充電器は去年の秋ごろに購入していて、今年の夏まで四季を通じて使っていたけど以下の検証以外でスマホに機能制限がかかったことはなかった。
最高気温38度でもギリギリ耐えた
CryoBoostが夏の暑さに耐えられるか検証するために、最高気温38度の晴れの日に1日ドライブ、運転中は常に無線充電しつつワイヤレスCarPlayも使う高負荷状態でスマホが耐えられるか試してみた。
結果、1番気温が高くなる13時ごろには一時的に充電速度の制限がかかったものの、温度警告と機能制限までは行かなかった。
細かい温度や充電器の挙動までは確認していない簡易的な検証だけど、炎天下でも充電は停止することなく動いてくれたのは事実。メインの購入目的だった熱対策としては十分に機能してくれた。
参考としてこの検証の条件や環境を下記に残しておく。
条件・環境
【環境】
天気 | 最高気温38度、晴れ |
運転時間 | 午前8時〜午後6時、途中数回の屋内外駐車あり |
車種 | スイフトスポーツ(ZC33S) |
充電器設置場所 | ダッシュボード上(デフロスター周辺) |
空調 | 内気循環、オートエアコン26度 |
備考 | 駐車時はフロントガラスとフロントサイドガラスにサンシェード設置 |
【スマホ】
端末 | iPhone13mini |
充電 | 無線充電(7.5W) |
用途 | ワイヤレスCarPlay(Yahoo!カーナビ、YouTube Music) |
備考 | MagSafe対応シリコンケース、画面保護グラス装着 |
冷却ファンの音が少し気になる
冷却性能自体は満足できるものだったけど、冷却ファンの音は少し気になる。
一時停止中やエアコンOFFで運転している時にファンの音が聞こえる。
音自体はそこまで大きくないけどはっきりと聞き取れるから割とうるさく感じるかもしれない。
静粛性が高い車ほどここは気になりやすいと思う。
冷却ファンのON・OFFができれば良かった
CryoBoost車載充電器にスマホをセットすると充電と同時に冷却ファンも強制的に回る仕様。
気温が低い時期ならわざわざ冷却ファンで冷やすまでもないし、純粋なスマホホルダーとして使いたいときはファンの音が少し邪魔。
ケーブルをいちいち引き抜くのも手間だから、欲を言えば冷却ファンが自由にON・OFFできるスイッチがあればより使い勝手が良かったと思う。
マグネット式ケーブルで一応解決
この点はマグネット式の充電ケーブルと組み合わせることで一応解決した。
ケーブルの脱着が普通のケーブルより簡単にできるから使い勝手がかなり良くなった。
配置場所とケーブルの取り回しの都合上、横型のUSBアダプタを組み合わせて使っている。
マグネット式充電ケーブルは接触不良などの不具合が発生しやすいらしいので扱いには注意が必要。AliExpressで1本バラ売りのものを購入した。送料込み、セール価格で800円程度で入手できた。
デフロスターに取り付けた
冒頭で書いた通りエアコン吹出口は既にドリンクホルダーで埋まっているから、運転席側のデフロスターの吹出口を利用することにした。
少し工夫が必要だったから参考例として書き残しておく。
まずクリップを取り付ける部分に、傷防止のビニールテープを巻き付ける。
次に支えにする部分にエプトシーラーを貼り付けて、安定感の向上と振動対策を図る。
内装の形状的に付属のサポートアームが使えないから、充電器本体とクリップの接続部分を支えにする。
横から見た図。サポートアームに貼り付けたエプトシーラーは試行錯誤の片鱗。無くてもいい。
ドリンクホルダーより多少中央よりかつ奥まった位置になるから、ドリンクとスマホが干渉しない。
視界もほとんど遮らない良い場所に設置できた。
本来想定されていないだろう位置に取り付けたこともあって、走行中はわずかに充電器が揺れる。エプトシーラーのほかに制振用のゲルを試してもいいかもしれない。
かなり良い。冷却ファンの進化に期待
Cryoboost車載充電器は熱対策が課題だった車載充電器の一つの解だと思う。
スマホの冷却効果は十分高いことが実感できたし、MagSafe式スマホホルダーとしての使い勝手も良い。暑い時期も使える車載用充電器兼スマホホルダーとして完成度が高い。
冷却ファンの音や挙動に改善の余地はあるけど大きな欠点はない。
車載充電器として積極的に選んでいける一品。