今のマイカーはカーナビレス仕様で、出かけるときはスマホをカーナビの代わりに使っていた。今回、スマホナビからディスプレイオーディオへの乗り換えを決めたので購入動機から本体レビュー、取り付け方法まで一通りのレポートとしてまとめる。
購入したのは中華製の激安Androidディスプレイオーディオ「ATOTO S8 Pro」。追加でアクセサリのハンドルコントローラーも購入した。
中華の聞き慣れない企業で激安価格の製品は十分使えるのか?そもそも自分に取り付けができるのか?自分と同じDIY素人、社外Androidナビに興味がある人の参考になればと思う。
この記事では取り付け方法について解説する。
ATOTO S8 Pro関連の記事はこちら。
・本体レビュー
・取り付け(この記事)
・設定とカスタマイズ
高性能な社外品ナビを使いたい
S8 Proに限らずメーカー純
自動車の内装を剥がして作業するのは初めて。最初はカー用品店にお願いしようと思ったけど、取り付け事例を調べてみたら自分でもできそうな気がしたので挑戦してみることにした。
ATOTOナビ取り付けや自分の車の内装剥がしの方法を検索して集めた、断片的な情報を組み合わせてなんとか取り付けまでこぎつけることができた。
素人でも頑張れば自分の力でできることを同じDIY初心者に伝えられると嬉しい。内装の形状や取り外し方は車種によって違うから、作例の一つとして参考にしてほしい。
取り付け工賃を節約したい
自力で取付する一番のメリットは取付に必要な工賃を節約できること。
Androidナビは従来のカーナビと比べると圧倒的な価格の安さに目を引かれがちだけど、取り付けをカー用品店に依頼する場合は当然取り付けの工賃が発生する。
取り付け工賃の目安は3万円
取り付けの工賃はその店で買ったものか自分で買ったものの持ち込みかで費用が大きく変わる。持ち込みの場合は最低でも1万円、取り付け機種や車種によっては3万円以上が相場。
最初は自分も取り付ける自信が無く、近くのオートバックスとイエローハットに問い合わせてみたらどちらも持ち込みは最低3万円からとの回答だった。
ATOTO S8 Proを含めてAndroidナビはカー用品店の取り扱いは無いに等しいから、取り付けを依頼する場合は必然的に持ち込みの工賃で考えることになる。
今後車の乗り換えやナビの機種更新で付け替える場面は何度か訪れることになるわけで、その度に数万円の出費が発生する可能性があるのはできるだけ避けたい。今後いざというときは自力で取り付ける選択肢を持っておきたい、という考えがあって取り付けてみることにした。
S8 Proの取り付け工程
作業に入る前に、今回の作業工程と取り付けに使うものを整理する。まず全体の工程は下記。
- 内装パネルを外す
- 付属品の設置と配線
- ナビ本体の配線と設置
- 動作確認
- 内装パネルを戻す
車の内装パネルの大半は爪で留まっているだけだから、内装の付け外しはそこまで難しくない。
問題は物の設置と配線で、事前の計画・準備が必須になる。
S8 Pro以外に取り付けるもの
次に取り付けるものの一覧。
- S8 Pro本体
- Wi-Fiアンテナ(付属品)
- 4G,LTEアンテナ(付属品)
- GPSアンテナ(付属品)
- スマホ連携・外部ストレージ用USBケーブル(付属品)
- カーオーディオハーネス(ATOTOのアクセサリー)(重要)
- ステアリングリモコン・レシーバー(ATOTOのアクセサリー)
S8 Pro本体の後ろ側に各種アンテナやUSBのケーブルを接続して、それぞれ車内の適当な場所に配線することになる。
カーオーディオハーネスは必須レベル
カーオーディオハーネスはS8 Pro本体と車それぞれから出ている配線を簡単に繋げられるパーツ。
S8 Proに付属しているハーネスは車に接続する側のケーブルがバラバラの状態になっている。この付属品を使う場合、自力でケーブルを1本ずつ繋げていくことになる。
自動車メーカーごとに違う配線や端子形状を調べあげて、接続不良にならないように注意して繋げていく作業をしていくのはなかなか難しい。
この作業を全て省略できるのが専用のオーディオハーネス。メーカーの仕様に合わせた端子形状とケーブルの接続がされているパーツで、これを使えば形状の合う端子に差し込むだけでS8 Proと車の配線が完了する。とても簡単。
ハーネスの価格は約2,000円~3,000円。作業時間の大幅な短縮と確実な配線の安心が買えると考えれば安い。
特別な理由がない限り絶対に買ったほうがいい。
必要な工具など
用意したものは下記。
以前は100均で全て揃う旨を記事に書いていましたが、性能に対する価格を考えると道具類は高価でなくともちゃんとしたものを買ったほうがいいです。参考として実際に現在自分が使っている商品のリンクを載せておきます。
- 内張りはがし
- 養生テープ
- 電動ドライバー
- 小型ライト
- 結束バンドorビニールテープ
- 自動車内装用両面テープ
- フェイスタオル
- 軽作業用手袋
内張りはがし
内装を剥がすときの補助に使う。エーモン製の片方が二股になっているタイプを1本買っておけばほとんどの状況に対応できる。
以前は100均のヘラを紹介していたけど剛性不足で使いにくい場面が多く、使うのをやめた。
養生テープ
内装の保護、パーツの仮止めに使う。
これも以前100均のテープを紹介していたけど、糊残りしやすくテープの強度も足りないので非推奨。
電動ドライバー
ナビのパネル周辺など、ネジ止めされている場所に使う。場所によってネジのサイズが違うから複数のサイズに対応できるタイプを用意しておくのがいい。
安い無名の中華製品でも事足りる。
小型ライト
内装の奥は暗い場所が多いのであると便利。スマホのライトでも代用可能。
ダイソーの300円COBライトを使っています
結束バンドorビニールテープ
ケーブルの固定用。
自動車内装用両面テープ
アンテナ類の固定用。耐久性の観点から自動車専用品がおすすめ。取付場所によってはビニールテープで代用可能。
フェイスタオル
内装やナビ本体の一時的なカバーに使える。
軽作業用手袋
手のケガ防止。ワークマン製が安くて使いやすい。
付属品の設置場所と配線を決める
前置きが長くなってしまったけどいよいよ実際の作業に入る。
まず最初に下記の付属品とケーブル類の配線場所を決める。
- Wi-Fiアンテナ
- 4G,LTEアンテナ
- GPSアンテナ
- スマホ連携・外部ストレージ用USBケーブル
GPSアンテナはダッシュボード裏面に配置
GPSアンテナのはAピラー経由でフロントガラス上部に取り付けるのが理想的な配線だけど、ピラーのパネル取り外しが面倒だったのと、S8 Proの付属品のGPSアンテナが直射日光に耐えられるかは未知数。
工数とアンテナの耐久性を考慮して、GPSアンテナはダッシュボード裏、その他はインパネ下部に取り付けることにした。
設置場所の図解は下記。左側に伸びている矢印がGPSアンテナ。下に伸びている矢印が他のアンテナ類。
車の内装を取り外す
内装パネル外し
取り付け位置が決まったら内装を外していく。
車の内装は大抵がプラスチックのツメで留まっているだけなので、内張りはがしをパネルの隙間に入れてゆっくり取り外していく。
取り外しの順番や外し方は「車種名 内装 外し方」で検索してほしい。
画像の車種はトヨタ・パッソ(KGC30型)。
まずメーターフードから。パネルの隙間に内張りはがしを差し込んで、ゆっくりと手前に引いて剥がす。
1箇所外したあとは、手でゆっくり引っ張ればパネル全体が外れる。無理に引っ張るとツメが破損する可能性があるので焦らずにゆっくりやる。
メーターフードが外れたら、同じ要領で隣の助手席・ナビパネルを外す。
オーディオ外し
パネルが外れたら次はオーディオスペースの取り外し。
オーディオ取付用のステーは4つのネジで留まっている。今回はトヨタ純正オーディオが装着されているので一緒に取り外す。
ネジを外すとステーとオーディオを手前に引き出せるので、オーディオ本体裏に繋がっているケーブルを外す。ケーブルの長さはあまり余裕がないので無理に引っ張らないようにする。
オーディオ本体側面にネジ留めされている取り付け用ステーを外す。このステーはS8 Proの取り付けに使う。
付属品とS8 Pro本体の取り付け
S8 Proの配線をしやすくするために、先に付属品を取り付けてからS8 Pro本体を取り付ける。
付属品の配置と配線
最初に位置を確認した通りに付属品を取り付けていく。
GPSアンテナはダッシュボード裏、取り外しのしやすさも考えてアクセスしやすい場所にした。
仮設置の状態。ケーブルは画像の位置で固定すると内装パネルと干渉するので後から奥のスペースに移動させた。
その他アンテナやUSBケーブルは助手席下からインパネ下部へ。
乗員の邪魔にならない、小物入れ下のえぐれた部分に配置。画像は完成時の貼り付けているものだけど、余分なコードの調節作業があるから貼り付けは後回しにしたほうがいいと思う。
ハンドルコントローラーは親指で操作できる位置に両面テープで貼り付けた。
S8 Proの取り付け
ケーブル類の下準備が終わったらS8 Pro本体の取り付け。
S8 Proはオーディオスペースに入れる四角い本体と画面が分離できるので先に画面を外しておく。
本体側の側面に取付け用ステーを付ける。
側面の穴は金具を合わせると丁度ネジ穴が合う場所が見つかるので、見つけたらネジで固定。固定した後は車にはめ込んでみて、干渉するものがないか確認する。
はめ込みに問題ないことが確認出来たら、S8 Pro本体に各種ケーブルとハーネスを接続する。本体上部に貼り付けられているガイドを見ながら繋いでいく。
基本的に形状の合う端子に差し込めばつながる。電力リードは冒頭で紹介したカーオーディオハーネスを使えば簡単に接続できる。
繋ぎ終わったらS8 Pro本体を車のオーディオスペースにはめ込んで、画面も接続して仮置きする。この状態で車のACC電源を入れて通電を確認する。
内装戻しとS8 Pro本体の固定
動作確認ができたらいよいよ最終取り付けに入る。
フローティング式の大型ディスプレイを取り付ける都合上、以下の順番で取り付ける。
- S8 Pro本体を固定
- 内装パネル戻し
- S8 Pro画面を固定
まずS8 Pro本体の取り付け。オーディオスペースにはめ込んでステーをネジ留めする。
次に内装パネルを戻す。取り外した時とは逆の順番に付けて戻していく。
あとはS8 Pro本体に画面をはめてネジで固定するんだけど、ここで問題発生。内装の形状のせいで作業スペースが極狭になっているから、一番上の取り付け穴にネジを通せなかった。
ここまで来てやめる訳にもいかないので一番上の本体との固定部分にはネジを通さず、画面と前後調節用の金具のみネジ止めした。
この2つさえ留まっていれば本体と画面の端子は固定できるし、前後調節の金具は本体から抜け落ちない構造になっているので通常使用は問題無い。前後調節はそこそこの力がないと動かないようになっているから、運転中のGで動くことはまずない。
思わぬトラブルだったけどなんとかクリアできた。当然メーカー側は想定していない取り付け方になるのでこの方法は自己責任で。
調整と仕上げ
内装戻しとS8 Proの取り付けが済んだら最後の仕上げ。
前もって通しておいたケーブル類はフックで固定する。今回は家に余っていた3Mのコマンドフックを使用。
簡単にケーブルが取り外しやすいフックにしておくと、外部ストレージやスマホ接続をするときのケーブル取り回しがしやすい。
あとはオーディオスペース周りの隙間埋め。パッソの場合はS8 Pro本体と内装に小さな隙間ができている。本体側にはMicroSDとSIMのポートがあるので、誤って隙間から落ちないように対策する。
隙間埋めテープを貼り付ける。
見栄えはあまり良くないけど、画面に隠れてほとんど見えないからこれで良しとする。
以上で取り付け作業は終了。
総所要時間は約1日
実作業時間は半日、内装の構造や外し方等のリサーチを加えると丸一日くらいかかった。部品の取り付け位置や手順を最初に考えておけば作業自体は簡単。
車の内装を外してナビを付けるのは初めての経験だったけど、一度通しで作業してみれば案外すぐに慣れてしまう。今後車を乗り換えた時も自分で付けられると思うから、今回のDIYは成功だった。
仕上がりを気にするならプロに任せたほうがいい
ただ、配線の仕上げや隙間埋めなどの仕上げは見てもらった通りどうしてもDIY感が出てしまう。仕上げにこだわるなら専門店に任せたほうが確実。
実際に使用したレビューはこちら
内装DIYに役立ちそうな商品
ATOTO S8 Pro関連の記事はこちら。
・本体レビュー
・取り付け(この記事)
・設定とカスタマイズ