6月半ばからイオシスで6,000台限定で発売された業務用タブレット、EGBOK P803を購入したのでレビューする。
6,980円と、セール時のAmazon Fireタブレット並の価格で買える端末。
どんな用途でどこまで使えるのかを、購入目的を中心にまとめる。
イオシス限定6,000台のAndroidタブレット
EGBOK P803は中古スマホ・タブレットを主に取り扱うショップのイオシスで、限定販売されているタブレット。
元々は法人用の業務向け端末で、箱にはフードデリバリーサービス「DiDiFood」のロゴ。DiDiFoodが2022年5月25日に日本から撤退したので、その影響で未使用品がイオシスに流れてきたと思われるモデル。
処理性能は価格なりのローエンド相当。本体性能より、OSやGPSといった付加価値にどれだけコスパを感じるかがポイントになる。
最初にレビューの結論を言ってしまうと以下の通り。
どんな端末か?
・Androidとインターネットが使える、コンテンツビューア専用機
・よほどの理由がなければAmazon Fireタブレット7~8インチでOK
良いところ
・Android11搭載
・MicroSD対応
・デュアルSIMとGPSで独立運用も可能
・6,980円
悪いところ
・処理性能はコンテンツビューア程度が限界
・明るさの自動調整がない
・カーナビ用途には不向きなGPS精度
・PD充電器は使えない可能性が高い
・6,000台限定
購入理由と目的
今回の利用目的はこの2つ。興味ない人は飛ばしてもらってもOK。
・Android環境の確保と勉強
・片手で持てるコンテンツビューア専用機(ゴロ寝・入浴時用)
今自分が持っているAndroid端末は、車に取り付けているディスプレイオーディオ、ATOTO S8 Proの1台。Androidの自由度を生かして快適な車内環境を作ろうと試しているんだけど、起動するためにエンジンを掛ける必要があるし、持ち運びもできないから検証や実験には何かと不向き。
この検証・実験用途としてAndroidタブレットが欲しかった。勉強用・開発用とは言ったものの、本格的なことをするわけではないから正確には慣れておく、が正しい表現かもしれない。
ATOTO S8 Proについてはこちら。
そしてEGBOK P803を購入した理由は4つ。
・8インチ
・Android11搭載
・GPS搭載
・6,980円
8インチは自分が求めていた丁度いいサイズ。ゴロ寝や入浴中にコンテンツを消費したいときにはある程度の画面サイズと軽さを求めているんだけど、iPhone12miniは軽いが小さすぎる。iPad Air 5は重たいし(ケース込みでグラム)上記用途としては大きすぎる印象。この間に位置する端末が欲しかった。
純粋なAndroidを搭載している点も嬉しい。競合になる7~8インチFireタブレットもGoogle Playの導入はできるけど、純粋なAndroid環境が使えるのは目的に合った仕様。
そしてGPSの搭載もP803のユニークなポイント。ATOTO S8 Proに近い環境が使えるし、P803単体でカーナビやマップといった用途に使えるかも、といった期待がある。
この仕様の未使用品が6,980円で手に入れられるのは魅力だったので購入を決断した。
スペックと特徴
ここからは本体の紹介と使用感について。まずスペックは、近い立ち位置にあるAmazon Fire HD 8 Plusと比較してみる。
EGBOK P803 | Amazon Fire HD 8 Plus(2020) | |
参考価格 | 6,980円(32GB) | 11,980円(32GB) 13,980円(64GB)2021プライムデー価格 7,680円(32GB) 9,680円(64GB) |
OS | Android11 | Fire OS 7 |
重量 | 379g | 355g |
SoC | Unisoc SC9863A | MediaTek MT8168 |
RAM | 2GB(3GB) | 3GB |
ディスプレイ | 8インチ(800*1280) | 8インチ(800*1280) |
カメラ | フロント5MP リア8MP |
フロント2MP リア2MP |
Wi-Fi | b/g/n (2.4Ghz) | a/b/g/n/ac (2.4/5Ghz) |
ストレージ拡張 | MicroSD | MicroSD(1TBまで対応) |
Bluetooth | 4.2 | 5.0 LE |
その他 | デュアルnanoSIM GPS FMラジオチューナー |
EGBOK P803がFire 8 HD Plus と主に異なる点は以下の通り。
・OS(Android11)
・GPS搭載
・物理デュアルSIM対応
・Wi-Fi(b/g/n)
・FMラジオチューナー搭載(87.5MHz~108MHzのみ)
まずはOS。純粋なAndroidなのでGoogle Play Storeが標準で使える。Fireタブレットでも簡単にPlay Storeを入れることはできるけど、非正規の方法なのでいつまでも同じ手法が使えるとは限らない。非正規の方法に依存せず、安心して使い続けられるのは魅力の一つ。
次にデュアルSIMによるモバイルデータ通信、通話に対応していること。6,980円でSIMによる単独データ通信ができる端末、というだけで魅力に感じる人はいると思う。GPSもついているので機能的にはスマホとあまり変わらない。予備のスマホとして持ち運んだり、自動化アプリのトリガーとして使ったりと、使い道はFireタブレット以上の可能性を秘めていると思う。
Wi-Fiはac非対応なので速度はあまり期待できない。
そしてFMラジオチューナー。端末本体にチューナーが内蔵されているので、オフラインでもラジオ機能が使える。
ただしラジオ機能は有線イヤホンの接続が必須。イヤホンプラグがアンテナの役割を果たすためらしい。
利用できる周波数も87.5MHz~108MHzのみ。自分の住んでいる地域が対応しているか確認が必要。災害用ラジオを兼ねた多目的端末として、防災用品に入れておくのもアリかもしれない。
質感は値段相応
外装の質感はプラ素材なものの、マット仕上げだったりメッキ加飾があったりと、値段の割に見た目は決して悪くない。肌触りも良し。
値段なりのクオリティはボタンや端子類の作りに出ている。電源、音量ボタンは指で動かせるほどにグラグラしていて、完全におもちゃ。
SIMピンやUSBポートの入りも渋い。動作は問題ないけど耐久性はやや心配な面がある。
最低限の処理性能と使用感
SoCはUnisoc SC9863A、RAMは3GB(自分が入手した個体は3GBでした)。
Antutuベンチマークスコアは約100,000とローエンド帯のスペック。何がどこまでできるか、実際に使ってみた感想を大まかにまとめる。
テキスト、電子書籍閲覧は快適
ニュースを見たり電子書籍を読んだりといった使い道なら快適に使える。
解像度の低さも意外と気にならないので、何かを我慢するようなことは全くない。
自動化アプリも問題なく動作する
MacroDroidやTaskerは多少読み込みに時間はかかるものの、おおむね快適に動作する。
自動化アプリのレシピ開発や検証なら十分使える。
動画再生は音声がネック
動画は1080p60でも問題なく再生できる。ただし画面の拡大と縮小、回転には多少もたつく。気になるのはスピーカーの性能の低さ。価格的に音質の悪さは仕方ないとして、音量がとにかく小さい。体感としてはiPhone12miniの半分くらいの音量しか出ていない。
入浴中など、ある程度の生活音が発生する状況だと聞き取ることが難しい。動画再生端末としてはいま一歩、と言った印象。
ネットブラウジングはおまけ
ネットブラウジングは全体的にもっさり。決してインターネット閲覧を目的として購入してはいけない。
オンライン説明書を読んだり、QRコードのリンク先URLを読んだりする程度に留めておくのが賢明。
明るさの自動調整がない
個人的に思うEGBOK P803の最大の欠点。まさかの明るさ自動調整非対応。寝る前の暗がりでちょっと弄りたい時に目が爆光に晒されやすいのが地味に辛い。
室内外問わず場所によって最適な輝度は変わってくるから、いくら安い業務用端末だとしてもこの機能は削らないほうが良かったのではと思ってしまう。
カーナビには不向きなGPS
EGBOK P803のユニークなポイントの一つであるGPS。肝心の精度はあまり高くない。
徒歩と自動車での移動それぞれでナビ機能を試してみたところ、
徒歩の場合は多少カクつきがある程度で、道案内用としては問題なく使うことができた。
一方で自動車の場合はイマイチ。移動速度に端末側の処理が追いついていないのか、頻繁に位置情報の更新が遅れる。アプリ上と実際の現在位置が一致しない場面が多かったり、アプリ上の現在位置が大きくずれたせいで全く違う道を走っている扱いになってしまい、見当違いのルートに変更されてしまったりと、カーナビとして使うには実用上の問題が大きかった。
GPSは徒歩の道案内専用と思ったほうがいい。
顔認証はほぼ機能しない
EGBOK P803はインカメラによる顔認証に対応している。ただしちゃんと認識してくれるのは以下の条件すべてを満たしたときだけ。
①明るい場所で
②本体と真正面に向き合って
③認識まで(約1.5秒)この状態を維持
iPhoneの顔認証に慣れているととにかく動作が遅くて逆にストレスになる。昔ながらのパターン認証を使うか、潔くパスコードなしにするのが良いと思う。
PD充電器は不可?
PD非対応なのが影響しているのか、PD充電器に接続しても充電が開始されない時がある。自分の環境で確認できた充電できない条件は、
「PD出力対応充電器かつ、PD出力対応ポートであること」
正確な条件はもっと複雑かもしれないけど、とりあえず抑えておきたいのはPD充電器だと充電できない可能性がある点。自宅の充電環境をPDで揃えている人は、P803専用にダウングレードした充電環境を用意して上げる必要があるかもしれない。
正直Fire HD 8 Plus でいい
値段なりの低スペックさを感じるものの、購入目的だったAndroid環境の確保とコンテンツビューア専用機としての役割は十分に果たしてくれるので買って良かったと思う。低スペックは割り切りが大事。
最初に書いた通り、P803の付加価値に魅力を感じることができれば買い。ただ、その付加価値の使い勝手が微妙だったのは残念。この価格帯でコンテンツビューア専用機が欲しいなら、よほどのこだわりがなければセール時にFireタブレットを買ったほうが良い気がする。
壊れるまで使い潰す予定なので、傷や汚れは気にせずに使う。用途的に重量増も避けたいのでケースは装着せず、ゴロ寝用に100均で買ったバンカーリングだけ付けて運用する。
2022.07.09時点で在庫は約700台。気になった人は急いだ方がいい。
(イオシス公式オンラインストアと楽天市場店で販売中)