現在自分の車のカーオーディオとして愛用しているのはAndroidナビのATOTO S8 Pro。
ATOTOは商品構成が複雑で商品名を見ただけではどの立ち位置にあるのかが判別できない。
この記事ではATOTOがラインナップしている端末のシリーズについて解説する。ATOTOを検討している人の参考になればうれしい。
現行のATOTO端末は4シリーズ
2024年1月現在、ATOTOが販売している端末シリーズはS8,A6,F7,P8の4種類。
この4つのシリーズからさらに世代・画面・機能の違いで複数のグレードとモデルに細分化された構成になっている。
iPhoneで例えてみるとこんな感じ。
iPhone | ATOTO | |
---|---|---|
メーカー | Apple | Aotule Electronics |
シリーズ | iPhone15,iPhoneSE... | ATOTO S8,ATOTO A6... |
グレード | iPhone15 Pro,iPhone15 Plus... | S8 Pro,S8 Ultra... |
モデル | 128GB,256GB... | 7インチ画面、9インチ画面... |
グレードとモデルの違いはかなり細かいから、今回は製品の大まかな傾向を掴めるシリーズに絞って紹介する。
全シリーズ・全モデルで共通してできること
ATOTOのどのシリーズでも共通してできることはこの2点。
・ディスプレイオーディオ
・スマホ連携(CarPlay,Android Auto)
ディスプレイオーディオは、ディスプレイが付いているオーディオプレイヤーのこと。単体でUSB内のメディアやBluetoothでの再生ができる。カーナビと違ってディスプレイオーディオ自体にはナビ機能は内蔵されていない。
スマホ連携はCarPlayとAndroid Autoのことで、スマホとディスプレイオーディオを接続すれば専用のUIでスマホのナビアプリを使ったり音楽を再生したりできる。
違いはOSと付加価値
ATOTOの端末は上で紹介した共通機能をベースに、OSや基本的な仕様の違いをシリーズ単位で分け、付加価値の違いをグレードとモデルで細分化している。
現在展開されているのはS8,A6,F7,P8の4種類で、S8が最上級の機種。右に行くほどスペックや機能が絞られた廉価機種になっていく。
フラグシップのAndroid機・S8
S8はAndroidを搭載したフラグシップ相当のシリーズ。価格帯は約40,000~80,000円で、50,000円前後のモデルが主力。最上位モデル(Ultra Plus)は一気に価格が跳ね上がるから最安モデルとの価格差が大きい。
フラグシップらしく、SoC、メモリ、ストレージ等のスペックは他のシリーズより充実したものになっている。ただし性能そのものはエントリークラスのスマホ並み。ATOTO以外のブランドを含め、現状Androidナビの性能の進化はスマホに比べて遅れているので期待は禁物。
ただしカーナビや音楽アプリを再生する用途には十分で、Googleプレイストアのアプリで色々な運用を考えられる程度のスペックはある。
S8シリーズの魅力はProグレード以上に搭載される物理NanoSIMスロットで、テザリング不要でデータ通信ができるようになる。
車載用Android端末というニッチな製品をとことん使い倒したい変態やガジェットオタク向け。
筆者はS8のProグレードを愛用中
筆者は2022年にS8のProモデル(S8G2104PR-A)を楽天の公式代理店で購入して自分で取り付けた。2024年の今も現役。
10インチの大画面と単独データ通信ができる端末の快適さは従来のカーナビでは考えられない。
コスパ重視のAndroid機・A6
A6はS8は同じくAndroidOSを搭載、S8から処理性能や付加価値を削った廉価版。価格帯は約25,000~40,000円前後。
S8に比べるとSoCやメモリの性能が落ちているぶん動作の軽快さは劣る。S8の時点で時々動作の引っかかりやもっさり感があるスペックだから、Android搭載機で色々弄ってみたいという人には物足りないかもしれない。
ただし車載端末はスマホと違って端末を直接操作する時間が少ないし、用途もそこまで処理能力を必要としないものが多いから処理性能が低いことのデメリットは感じにくい気もする。
「基本的にはスマホ連携(CarPlayかAndroid Auto)を使うけど、Android端末としても時々使いたい」という用途ならA6でも十分。
ディスプレイオーディオに求められる性能を満たしつつAndroidも使えて低価格と3拍子揃ったA6は特にコスパが高い。
廉価版のLinux機・F7
A6よりも更に低価格なシリーズがF7。価格帯は約23,000~40,000円前後。価格帯はA6に近いものの、セールやクーポンの値下げ率が高い傾向で実質的な購入価格はA6よりも抑えられている印象。
OSにLinuxを採用しているのが上位シリーズとの最大の違いで、F7本体はGoogleプレイストアが使えず本体にアプリを追加する使い方はできない。機能的には従来のディスプレイオーディオに最も近い。
「スマホ連携対応のディスプレイオーディオ」自体は国内ブランドからも発売されているけど、スマホ連携のワイヤレス接続の可否、画面解像度の高さといった基本スペックはF7が上で価格も安い。価格に対するカタログスペックを見るとF7は破格の安さ。
【参考】国内ブランドのディスプレイオーディオ(商品リンク)
ポータブルタイプのP8
唯一のポータブルナビ仕様がP8。価格は約35,000円。
OSはLinuxで、F7のポータブル版的な存在。本体は吸盤で固定してUSB給電で動作する。
従来のポータブルナビと同じく面倒な取り付け作業は不要、USBケーブル1本の接続で即使用できる手軽さがP8の強み。
本体価格が安くて取り付けに必要な工具や工賃も掛からないから、トータルコストはほぼ本体価格だけで済む。
車種によっては社外品のナビの取り付けが難しいこともあるから、取り付けしたいけどできない悩みを抱えている人にもポン付けできるP8は便利。
筆者が以前乗っていたトヨタ・パッソにS8を取り付ける時も内装パネルの干渉があり、本来とは少し違う方法で取り付けました。
シリーズの特徴まとめ
シリーズごとの特徴をまとめると以下の通り。
シリーズ | 用途・ターゲット層 |
---|---|
S8 | Androidの機能を使い倒したい、端末単独で運用したい |
A6 | スマホ連携がメインに使うが一応Androidも使いたい |
F7 | スマホ連携に対応した安いディスプレイオーディオが欲しい |
P8 | とにかく安く手軽にスマホ連携が使える環境を導入したい |
シリーズによって方向性がちがうから、自分が求める機能や車に乗る頻度に応じて選ぶのが良いと思う。
迷ったらAndroid搭載のA6かS8がおすすめ
個人的には端末選びに迷ったらA6かS8から絞り込むのがおすすめ。
Googleプレイストアのアプリをダウンロードして自由に使える拡張性は従来の車載端末にはない体験で、この便利さはぜひ一度試してほしい。す。
リスクヘッジとしてもAndroidは便利。「スマホ連携目当てで買ったけど結局ほとんど使わなかった」という人でも、アプリ次第で他の使い道ができ。例えばタスク管理アプリを入れて「車で済ませる予定や買い物リストを常時表示させる場所」としても使える。
買った後に持ち腐れしにくいという点から、筆者はAndroid搭載機をおすすめしたい。