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【初心者向け】Androidナビの基礎知識【特徴解説】

2023年3月5日

このブログで何回も紹介しているAndroidナビ「ATOTO S8 Pro」。海外メーカーの車載端末というニッチな商品ということもあって、まだまだネット上の情報量が少ないです。

興味はあるけどどんなものかよく分からない、という人へのガイドとして、Androidナビの基本を解説します。

Androidナビ≒車載専用Androidタブレット

AndroidナビはAndroidOSを搭載した車載用端末で、簡単に言えば車載専用にカスタムされたAndroidタブレット。

実態はカーナビというよりディスプレイオーディオに近い。本体に独自のカーナビ機能は無く、スマホとの連携やAndroidナビ本体にインストールしたアプリを使うことになる。

この「Androidナビ本体にインストール」というのがAndroidナビの特徴かつ、従来のカーナビとディスプレイオーディオとの違い。

スマホやタブレットと同じようにGoogle PlayストアからアプリをインストールすることでAndroidナビ単独でアプリが使える。使えるアプリはもちろんGoogle Playストアにあるアプリ全て。

従来のカーナビのように単独で使えるナビ機能とディスプレイオーディオのスマホ連携機能を持ち、 Google Playストアのアプリが自由に使える。この付加価値を全て詰め込んでいるのがAndroidナビ。

https://kouritsu-life.com/atoto_s8_use/
https://kouritsu-life.com/atoto_s8_6month/

従来の車載端末と比較

Androidナビ・従来のカーナビ・ディスプレイオーディオそれぞれの特徴を簡単に比較すると以下の通り。

カーナビとディスプレイオーディオは国内のメーカー純正品・社外品をもとにざっくりとした機能と価格を記載している。あくまでも傾向を表したもので、表にあてはまらない機種もあるかもしれない。

 Androidナビカーナビディスプレイオーディオ
スマホ連携
ナビソフト
(Google Playのアプリ+スマホ連携)

(端末内蔵の独自ソフト)

(スマホ連携)
音楽再生
動画再生
(Google Playのアプリ)

(ミラーリング等で可能、走行中制限有り)

(ミラーリング等で可能、走行中制限有り)
アプリ拡張性
(スマホ連携対応アプリ+Google Playのアプリ)

(スマホ連携対応アプリ)
本体価格(目安)約30,000円~約100,000円~約100,000円~
維持費(目安)0円
(単独運用時はSIM費用が別途必要)
地図データ更新費
(約10,000円~)
0円

表で見るとAndroidナビの機能と価格の優位性がやばい。Androidナビのステマと思われそう。

Androidナビの良いところ

ナビは常に最新版

ナビ機能はGoogle MapsやYahoo!カーナビを使うことになるから使える地図情報は常に最新版。地図の更新にかかる費用もない。

走行中の制限がない

従来のカーナビやディスプレイオーディオは安全上の配慮等から走行中の操作や画面表示に制限がかかることがある。制限のキャンセラーも売っているけど決して安くない。対してAndroidナビはそういった制限は一切ない。

通常のアプリも使える

ディスプレイオーディオの商品紹介ページで時々「スマホ連携でスマホと同じアプリが使えます」と謳っているものを見かけるけど、半分正解で半分間違い。

スマホ連携で使えるのは、スマホ連携対応かつスマホ連携専用のUIになったアプリのみ。

まずスマホ連携に対応しているアプリという時点で大半のアプリが脱落する。例えばYouTubeアプリはスマホ連携非対応だから使えない。一応接続元のiPhoneでYouTubeを再生すれば音声だけCarPlayで再生・停止ができるけど機能としては不十分。

スマホ連携専用のUIも一長一短で、表示や操作がシンプルで分かりやすい代わりに機能が削られすぎていて不便に感じることもある。

例えばGoogleマップの場合、ナビ画面表示中はピンチイン・ピンチアウトで縮尺の変更ができない。経路を広範囲で把握したいときは経路選択画面をいちいち開く必要がある。

Androidナビならスマホ連携機能に加えてGoogle Playストアでダウンロードできる通常版のアプリが使える。自分の好みや用途に合わせて通常版とスマホ連携用のUIを使い分けることができる。

もちろんスマホ連携非対応のアプリが使えることも強み。ラジオ感覚でYouTubeを流したり、同乗者向けにAmazon Prime Videoを再生することもできる。

自分の場合はタスク管理アプリを入れて車で済ませる用事や買い物のメモとして使っている。

とにかく多用途に使える。

必要なハードとソフトが全部入り

機種によって多少の違いはあるものの、Androidナビは基本的に車載端末として必要な機能やパーツが全て入っているのも魅力。

  • ディスプレイ(映像の出力先)
  • オーディオ(車のスピーカーからの出力対応)
  • 本体への給電充電(車の電源から供給)
  • Bluetooth(スマホとの接続)
  • Wi-Fiアンテナ(テザリング等)
  • GPSアンテナ(単独運用時に必要)
  • SIMスロット(単独運用時に必要)
  • ハンズフリー通話(マイク入力とマイク本体)
  • スマホ連携(CarPlay・Android Auto)
  • 外部ストレージ接続(SDカード・USBポート)

安いタブレットをカーナビ代わりにする方法もあるけど、解決すべき問題がかなり多い。ざっと思いついただけでも以下の問題をクリアしないといけない。

  • GPS搭載機種の吟味(後付け可能だが追加投資が必要)
  • パーツの追加購入が必要(端末のマウンターや後付けGPS)
  • 各パーツの取り付け方法や位置の工夫
  • 端末本体への充電
  • 車内放置によるバッテリーへの負荷対策

色々試してお金と時間を使うより、最初から専用端末を買ったほうが楽で安上がり。

本体価格が安い

以上の機能と付加価値が付いていながら価格は従来のカーナビよりかなり安い。

例えばATOTOならAndroid搭載最安モデルのA6なら約30,000~40,000円、上級モデルのS8で約40,000~75,000円。

メーカー純正品や有名な社外ナビメーカー品と比較すると価格破壊レベル。

Androidナビの悪いところ

メーカーサポートとネットの情報が貧弱

Androidナビ最大の弱点はサポート面で、質と量の両方が不足している。なにかトラブルがあったときは基本的に自力解決が前提。

初期不良や保証期間内の保証はメーカーに連絡するしかないけど、メーカーによっては対応が遅かったり、日本語のサポート体制が不十分だったりと不安要素が多い。

自分が使っているATOTOは日本語のサポートや国内の販売代理店もあるから多少ましだと思うけど、トラブル対応で一番頼りになるのはネットの情報というのが現状。ネットの情報も断片的なものが多いから、情報をかき集めて最後は自分で何とかしないといけない。

処理性能は発展途上

次に処理性能。良いところで書いた通り、値段に対する機能は国産の従来機より圧倒的に優れている。ただし肝心の処理性能はそこまで高くない。

処理性能は2023年現在のローエンドスマホ程度の性能に留まっていて、ここ数年のスマホの性能進化から完全に置いていかれてしまっている。

出典:ATOTO公式

使用感は必要最低限の性能といった感じで操作はややもっさり気味。ただし車載端末という性質上端末を操作する時間は長くないから致命的な欠点にはなっていない。

メーカーもそれを見越してあえてこのレベルの性能に抑えているのかもしれないけど、操作の快適性や製品寿命を考慮するともう少し余裕を持たせてもいいと思う。

挙動が若干不安定

ソフトウェアもまだ成熟しきっていないじゃじゃ馬なところがある。

ATOTO S8 Proの具体的な例を挙げると以下の通り。

  • ワイヤレスCarPlayの接続が時々かなり遅い
  • 標準ランチャーの操作性が悪い
  • アプリの設定が安定しない

アプリやマクロで多少の改善はできるけど、初期状態で使うとストレスが溜まりまくる。カスタムは必須。

単独運用はデータ通信がほぼ必須

Androidナビを単独で運用するならデータ通信できる環境が必要になる。

テザリング運用もできるけど、手間と安定性を考えるとSIMに対応したAndroidナビを購入してSIM運用が現実的。

用途的にSIMは小容量の格安回線かデータ通信シェアに対応した回線が向いていると思う。

Androidナビは手放しでおすすめし辛いのが現状

現状のAndroidナビは従来の車載端末に比べると機能も価格も優れていてカタログスペック上は優秀。

ただし全体的に扱いづらいところも多いピーキーな仕様で誰にでもおすすめできるものではない。この記事で挙げた悪いところが気にならない人なら買ってもOK、というのが2023年3月時点での個人的な見解。

機能コスパが高く、CarPlayの後付機として考えるなら悪くない。安く高機能を手に入れたいならおすすめ。

【余談】呼び方と搭載OS

Androidナビ?中華ナビ?

この記事では「Androidナビ」という名前で紹介しているけど、時々「中華ナビ」等別の呼び方で紹介されていることもある。

中華ナビは中国企業から販売されている車載端末の総称で、AndroidナビはAndroid OSを搭載した端末を指す。

2023年2月現在、ほとんどのAndroidナビは中国企業から販売されているから「Androidナビ=中華ナビ」の図式が成り立っている。呼び名は違えど指しているものは基本的にほぼ同じ。

OSとグレードの関係

じゃあ中華ナビは全てAndroidナビなのかというと実はちょっと違う。機種によってはLinuxを搭載していることがある。

スマホ連携(CarPlay、Android Auto)やオーディオ再生といった基本的な機能は両方とも同じ。違いはGoogle Playストアが使えるか否か(=Googleモバイルサービスが使えるか)。

Linux搭載機はGoogleのサービスを追加できないから、運用はスマホとの連携が前提。実態はディスプレイオーディオとほぼ同じといえる。この機能の違いから廉価グレードはLinux、上級グレードはAndroidが搭載される傾向にある。

ATOTOの場合はエントリーモデル相当のF7がLinux、ミドルのA6とフラッグシップのS8はAndroidという棲み分けがされている。

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