以前記事にしたとおり、大学生の時に親戚から譲り受けて約3年程度乗ってきたトヨタ・パッソからスズキ・スイフトスポーツに乗り換えることにした。
免許を取ってから初めて乗った車で色々とお世話になったから、車の振り返りも兼ねて長期使用レビューとしてまとめようと思う。
パッソは中古車市場でも安い個体が大量に出回っているから、検討の参考になれば幸い。
街乗り特化、軽に近いコンパクト
パッソはトヨタのコンパクトカーの中でも特に小さくて安い、普通車より軽自動車に近い車種。
自分が乗っていたのは2代目のパッソ(KGC30型)1.0L ガソリン仕様。親戚から譲り受けた中古車で、走行距離は約70,000km。
結論から言うと、短距離の街乗りなら神経使わずに乗れる楽な車。パワーは必要十分、ハンドルの感覚もゆったり、街中を走るのにちょうどいい。
車格と価格に合った外観
トヨタの中で一番下の車格、低価格モデルなだけあって造形はとにかくシンプル。複雑な形やメッシュなどの細かいパーツが無いから、洗車の拭き上げが楽なのも良い。
全体的に丸みを帯びたちょっとかわいい造形もあって結構気に入っている。個人的には現行型よりもスッキリしているこっちが好み。
内装・装備は必要最低限
内装はプラとファブリックの組み合わせで質感は二の次、必要最低限のものをまとめている。安っぽい、じゃなくて安い。ただし質感は乗っていればすぐ見慣れるもので、あまり気にしたことはない。
ドア側のアームレストもクッション材なしのプラだけど、高さが丁度いいおかげか硬さや感触で不快に感じることはなかった。
内装色はベージュ、暗めのグレー、ブラウンの組み合わせで落ち着いた印象。
小さいけど実用性は高い
収納豊富で便利な前席
パッソのフロントシートは絶対的なスペースは小さいけど、開放感があって窮屈さは感じないし、実用的な収納が多めで使い勝手が良い。
ドアポケットは500mlペットボトルと横長の小物入れ。折りたたみ収納式のサンシェードやiPadが入るぐらいの大きさ。
中央部、小物入れとドリンクホルダー。ドリンクホルダーは収納式で、コンビニコーヒーの容器をギリギリ並べて置ける広さ。
下には広めの空間があってゴミ箱とかが置ける。
グローブボックスは蓋付きで、ボックスティッシュがピッタリ入る。車検証はリアシートの専用スペースに逃しておけば収納をフルに使える。
リアシート下には引き出し式の収納。背が低い靴が入るくらいの大きさ。
中央のアームレスト兼収納が最高
これだけでも十分な収納だけど、一番気に入っていたのがベンチシート仕様車に付いている中央部アームレスト兼収納。
車格に対してかなり大きいアームレストで、肘を置く位置を考えなくても快適に使える。直線の多い道をのんびり走るとき、助手席の人がゆったり座りたいときに役立つ。
収納も優秀。前の窪みにはスマホがいい具合に立てかけられるし、
蓋付き収納はティッシュとちょっとした小物が余裕で入る広さ。運転席側にしか開かないことだけが欠点。
後席は荷室向けの作り
パッソの後席はほとんど荷物置き場にしか使っていなかったから、その視点でのレビューになる。
メーカー側もそういう使い方を想定しているのか、後席の利便性は前席より劣る。
ドリンクホルダーは無いし、写真には写っていないけどシートバックポケットは助手席側だけ。
このレビューのために久々にパッソの後席に座ってみた。
成人男性(176cm)が座っても足元スペースは意外と広いけど、
頭は天井にしっかり付く。長時間は座りたくない。
子供の送迎とか、短距離・短時間で人を乗せる程度ならいいと思う。
荷室からリアシートがフラット
パッソはリアシートから荷室までフルフラット。荷物が積みやすいから重宝した。
リアシート単独でもフラット
パッソは荷室をフラットにするために、リアシートを倒す前に一度座面を下げる構造になっている。シートアレンジの過程でリアシートの座面が前に進んで足元空間を埋める感じになるんだけど、このシートアレンジ途中の状態が荷物置き場にちょうどいい。
下げる前の状態。
下げた後。
買い物かごやクーラーボックスが縦横どちらでも置けるくらいのスペースができる。
前席から荷物を取りやすくなるのも便利。
荷物置きとしての使い勝手は上々。
車検証入れがある
前席の項目でも書いた通り、パッソの荷室には車検証専用の小物入れがある。助手席の収納をフルに使える。
短距離・街乗り特化の走行性能
ここからはパッソの走行感覚、走行性能、燃費について。
改めて結論を言っておくと、パッソは短距離かつ街乗り重視の車としてとても良い。街乗りで楽に運転できるセッティングがされているように感じたし、室内の高い実用性も相まって、生活の道具として使い勝手がいいと思った。
燃費は街乗りで14〜17km/L、郊外路や高速だと18〜20km/Lと、純ガソリン車としては普通の燃費で特に不満はない。
ただ、快適性や走行時の動きで気になった点もある。パッソのような実用車を買う人で運転感覚や走行性能を重視する人は少ないと思うけど、買ってから後悔しないための情報はできるだけ残しておいたほうが良いと思ったから書く。
ここは車の個体差やドライバーの差が強く出ると思うから、あくまでも参考程度と考えてほしい。
アイドリング時は電動マッサージチェア
アイドリング時はエンジンの振動が車内全体にすごく伝わってきて、感覚はまるで電動マッサージチェア。エアコンONにしてアイドル回転数が上がると振動がもっと強くなって、マッサージチェアの強さが弱から中に変わった、くらいの感覚になる。
疲れた日や長時間の運転にはちょっと堪えるかもしれない。
時々エンジン振動と音がすごく目立つ
0~40km/hあたり、街乗りペースの加速の時にエンジン振動がかなり強くなる領域がある。
パッソはタコメーターが無いから感覚の話になるんだけど、一度加速の瞬間に回転数が上がって、そこから回転数が落ち着くまでの間で時々発生。内装からはビリビリ音が鳴るしハンドルからの震えも強い。これは車に興味がない人でも気になるレベルだと思う。
ハンドルの震えはカバーの装着でかなり軽減できる。中古車の場合はハンドルが劣化してベタつくこともあるから、その対策としても役立つ。
10~20km/hの動きに癖がある
加速と減速の両方で、アクセルの踏み加減に気をつけないと10~20km/hあたりで加速感が急に途切れてカックンブレーキのような動きになってしまう。
注意してゆっくり踏んでいけばこの感覚はほぼ無くせるけど、今度は車の流れに乗れなくなって周りの車に迷惑をかけてしまう。特に街乗りで信号待ちからの発進が多い状況だとちょっとストレスになるかもしれない。
その他の対策としては、Sレンジに入れるとこの動きが無くなってスムーズになる。ただしエンジン音がうるさくなるし、シフトチェンジが頻繁にあると同乗者にとっては鬱陶しいだけ。あくまで一人乗り時の自己満足な方法。
公道で楽しめる限界の低さ
自分が乗っていたパッソは1.0リッターNAの純ガソリン車で、パワーは全然無い、ハンドルはゆったり、曲がるときはロールが強め、おまけにベンチシートだから少し早いペースで走ると体が安定しない。
絶対的な走行性能を見るとネガティブな要素ばかりだけど、公道かつ制限速度内で性能を使い切る楽しさがパッソにはあった。特に山道だと制限速度内でも「これ以上は無理かも」と感じる限界の領域が味わえると思う。
レース経験も何もない素人の感想だけど、性能が低いなら低いなりに上手く、そしてスムーズに走らせる楽しみ方をこの車で知ることができた。
※安全運転第一、周りの迷惑にならないようにしましょう
不快・無駄な動きが分かりやすい
車の限界が低いぶん、ちょっと雑な操作があると不快な動きを感じやすい。 だから普段の運転から、自分・同乗者・車のことを考えた乗り方の意識が身についたと思う。
具体的には下記。
- 同乗者が不快にならないように急がつく動作をしない
- できるだけGの発生を抑えて、無駄にGを変化させない
- 無駄な加減速を抑えて燃費を上げる
自動車に求めるものが分かるクルマ
記事を書きつつパッソのことを振り返ってみると、普段使いで困ったことは無かったからいい車だなと思ったし、必要最低限・最小構成の車だからこそ、自分の車に対する価値観や車に求めるものの優先順位の整理に役立てることができた。
パッソに乗って分かった、自分が車に求めるものをまとめると以下の3つ。
- 長時間の運転も耐えられる快適性と楽しさはもう少し欲しい
- 普段使いで便利な実用性は維持したい
- 内装は見慣れるから二の次でOK
ここからできるだけ購入費や維持費を安く抑えることを前提として、車に求めるものの優先順位を上から順番に並べるとこうなった。
- 走行性能(快適性)
- 走行感覚(楽しさ)
- 実用性(5ドアハッチバック)
- 燃費
- 内外装の見た目や質感
これでたどり着いたのが現行型のスイフトスポーツ(ZC33S)。
パッソに乗ってきたおかげで、次の車をなんとなくで選ばず、しっかり吟味した納得の買い物ができたと思う。その足がかりとしてもいい車だった。
最初の車におすすめ
お金を貯めて最初から憧れの車を買うのも良いけど、
- 最初は安くて必要最低限の装備だけの車に乗る
- 乗って感じた感想や不満を振り返って、不満を改善できるかを軸に再検討する
というのも、納得できる車選びのための一つの方法だと思う。
最初の車の選択肢としてパッソはおすすめ。中古車サイトを見れば現行(M700系)、先代(KGC30)のパッソは総額100万以下で買えるものが大半。在庫も多いから選びやすいと思う。