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ATOTO製ナビの高速起動の機能と設定解説【オフ推奨】

ATOTO製のAndroidナビは数秒で起動、使用できる高速起動機能が搭載されています。

機能自体は便利ですが実際に使って分かった注意点もいくつかあるので、ATOTO S8 Proを約2年使っている筆者が、高速起動の挙動や設定について解説します。

ATOTO製ナビの高速起動

ATOTO製のナビにはエンジン始動(ACC電源オン)から短時間で起動し、使用可能になる高速起動機能が搭載されています。

Amazonの商品ページでは「高速システムブート」という名称で、エンジン始動後2秒以内に起動、操作が可能になると記載されています。

実際に筆者のATOTO S8 Proでも起動時間は2~3秒と非常に早く、ほぼ公称値通りのレスポンスになっています。

対応シリーズはS8、A6のみ?

筆者はS8 Pro以外の機種を使ったことがないので他機種でも同じ仕様か確認してみましたが、筆者が調べた限りではS8シリーズとA6シリーズは高速起動に対応しているようです。

S8シリーズはAmazonの商品説明と説明書、A6シリーズは説明書に記載がありました。

ATOTO S8 Pro Amazon販売ページより

一方、F7シリーズ、P8シリーズには高速起動機能の説明がどこにもなく、非対応の可能性があります。

両シリーズの共通点としてLinuxOSを搭載しており、OSの違いから高速起動に対応していないものと思われます。

高速起動の挙動

高速起動は初期状態でオンになっています。

高速起動の挙動は筆者も詳細は把握できていないのですが、一般的なのスマホのスリープとは少し異なり、一部システムの再起動が行われているような特殊な挙動になっています。

これまで筆者がATOTO S8 Proを使用して確認できたものは下記の通りです。

・端末は約2秒で起動。起動後すぐに端末の操作が可能。
・一部のアプリやウィジェットの読み込みには時間がかかる。
・USB外部ストレージは再読み込みが入る?

起動自体は非常に早く、公称値通り2秒前後で起動して操作ができるようになりますが、一部アプリやウィジェットの読み込みには時間がかかり、完全に起動が完了するまでは体感で約10秒程度かかる感じです。

とはいえ起動でもたつくような感覚は全くなく、体感の待機時間ほぼゼロですぐに車載端末が使えるようになるのは非常に快適です。

ただし、以下のデメリットを理由に筆者は高速起動をオフにして運用しています。

高速起動は外部ストレージの読み込みが不安定になる

高速起動は立ち上がりが非常に早く快適な一方で、外部ストレージ周りの挙動は不安定で使いづらいです。

端末が立ち上がる度に再認識の処理が入っているのか、起動後に即認識することもあれば、起動後10秒程度経過してから認識したり、全く認識されないこともあったりと、読み込みが安定しません。

現行のATOTO製ナビの多くは内蔵ストレージが32GBか64GBと少ないため、外部ストレージに頼る機会は多くなると思います。通信量の節約のためオフライン再生の利用を検討している人は要注意です。

高速起動の制御と車のバッテリーへの負荷

高速起動の仕組みですが、エンジンを切った後も一定時間スリープモードを維持することで、次にエンジンを始動した時に素早く端末が立ち上がるようになっています。

ATOTO端末自体はバッテリーを内蔵していないため、スリープモード時の電力は車のバッテリーから供給されます。

高速起動の制御については本体の説明書で確認することができます。S8Gen2シリーズの説明書の抜粋を載せておきます。

内容をまとめると以下の通りです。

・約5分後、実行中のすべてのプログラムを終了
・終了後、スリープモード(消費電力10mA)へ移行
・スリープモード中は、ACC電源受信後2秒以内に起動
・スリープモード開始後、168時間(7日間)経過でシャットダウン
・シャットダウン処理後は車両の始動でシステム起動、起動は約20~25秒

毎日車を使う場合はバッテリーの充電が頻繁に行われるためスリープを継続、長期間使わない場合はシャットダウンで電力消費を抑える、という想定で制御が組まれているようです。

筆者は過去2回バッテリー上がりを経験

この高速起動の制御は、車の使い方によってはバッテリー上がりのリスクが高くなるので注意が必要です。

例えば筆者の場合、通勤は徒歩、車は週末の買い物と時々のドライブで週1~2回使う生活をしています。

この車の使い方で高速起動をオンにしていると、バッテリーの充電回数が少ない一方、1週間未満のサイクルで車を使用するため車を使用していない間は常にスリープモードを維持し、バッテリーから電力を消費する状態になってしまいます。

この制御との相性が悪かったとは言い切れませんが、筆者はS8 Proを取り付けた後、数ヶ月で2回バッテリー上がりを経験しました。

当時乗っていた車種はトヨタのパッソ(KGC30)、バッテリーは2回とも近所のホームセンターで購入した新品のPanasonic CAOSバッテリーです。

S8 Pro取り付け後、約2ヶ月程度で1回目のバッテリー上がりが発生。取り付けの時点で約2年以上使っていたバッテリーだったので単純に寿命が来たものと思いましたが、交換後約4ヶ月程度で新品のバッテリーが上がってしまいました。

ここまで短期間のバッテリー上がりは初めてだったのと、直近で取り付けた電装品がS8 Proだけだったこともあって、S8 Proの高速起動が電力消費に影響していると判断。

2回目のバッテリー上がり以降、S8 Proの高速起動設定をオフに変更。それ以降は一度もバッテリー上がりやその兆候もなく、安定して使用できるようになりました。

車のバッテリーの消耗は使用するバッテリーのほか、車種、運転の距離・時間など様々な要素が絡むため一概には言えませんが、筆者と同じような車の使い方をしている場合、高速起動の使用は控えたほうがいいかもしれません。

次の項目からは、高速起動をオフにした場合の挙動などを解説します。

シャットダウン起動の挙動

高速起動をオフにした場合の挙動について解説します。

※高速起動をオフにしたときの状態は便宜上「シャットダウン起動」と呼称します。

エンジンを切った後(ACC電源を切った後)、約5分間は電源が入った状態を維持しますが、5分経過後はシャットダウンし、完全に電源が切れます。

シャットダウンまでの約5分間は高速起動オンと同じ挙動で、エンジンを始動すると2~3秒で端末が立ち上がり、操作できるようになっています。

シャットダウンの後にエンジンを始動すると端末に電源が入り、起動ロゴとGoogleロゴが表示された後、ホーム画面が立ち上がります。このあたりの挙動は一般的のスマホやタブレットと同じです。

筆者のS8 Proの場合、ホーム画面が表示されるまでは約30秒、システムなどの読み込みが完全に完了するまでは起動は約40秒~1分程度かかります。

入れているアプリやストレージの使用量の影響か、ATOTOの公称値の20~25秒に比べると時間がかかっています。

外部ストレージの処理は高速起動より安定する

シャットダウン起動の場合は高速起動と比較すると外部ストレージの認識率が改善されます。稀に認識しないことはありますが、高速起動より圧倒的に安定して使うことができます。

シャットダウン起動の設定方法(注意点あり)

次に高速起動を切ってシャットダウン起動に切り替える方法を解説しますが…

高速起動の設定は通常の設定からは行うことが出来ず、特定の操作とパスコードを入力することでアクセスできる、いわゆる裏設定モードから変更することになります。

裏設定モードのパスコードは4桁の数字で、ATOTOのサポートに問い合わせることで確認可能です。

パスコードは再配布できないため、設定を変更したい方はお手数ですがATOTOのサポートに問い合わせてください。サポートは翻訳ベースですが日本語で対応してくれます。

設定画面へのアクセス方法

標準の設定アプリを開きます。

左のメニューから「システム」を選択し、「システム」を連続で4回タップします。

パスコード入力画面が表示されるので、パスコードを入力します。

パスコード入力後、裏設定画面が表示されます。

「スリープ設定」が高速起動の設定項目です。初期状態ではオン(高速起動オン)になっています。項目をオフにすると高速起動がオフになります。

裏設定モードではシステムの内部処理に関係する項目の設定もできるため、端末の動作に影響を与える可能性があります。関係ない項目を操作しないように注意してください。

現状、高速起動はおすすめできない

高速起動に関する解説は以上になります。

約2秒で立ち上がって操作できるのは便利ですが、実際の挙動と筆者の経験上デメリットと感じる点が多く、現状は積極的に使えるものではない、というのが筆者の結論です。

Wi-Fiやストレージの挙動はAndroidナビ単体で利用する際に影響する話になるため、CarPlayかAndroid Autoをメインで使う人にはあまりデメリットにはなりません。

ただしバッテリー消費は車そのものに直接影響を与えるため要注意です。筆者のように車に乗る機会がそこまで多くない場合、高速起動を切ることも検討してみてください。

設定の準備が面倒だがやる意味はある

高速起動の設定は面倒ですが、バッテリー上がりのリスクと上がったときの対応コストを考えればメリットは十分あると思います。

ユーザー側でここまでしなくてもいいように製品を仕上げてほしいところですが…現状はこの方法で対応するのが最適だと思います。

以上、

ATOTO製ナビの高速起動の機能と設定解説【オフ推奨】

でした。

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